【管理栄養士監修】亜鉛サプリのデメリットとは?長期間に渡って大量摂取すると健康被害の危険性も!
亜鉛サプリは、日本人の食生活で取り入れにくい「亜鉛」の摂取をサポートしてくれます。
また、髪にとって3大栄養素の1つである上に、薄毛予防に一定の効果が期待できるという研究報告も存在します。
だからといって亜鉛サプリを過剰に摂取するのはデメリットが多いので注意してください。
この記事では、そんな亜鉛サプリを過剰摂取することのデメリットを解説します。
この記事の監修者
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北海道大学大学院卒業
薬局薬剤師としてAGAや壮年期脱毛症、円形脱毛症の医薬品調剤や服薬相談を多数経験
薄毛の悩みを解決できる医学薬学知識を啓蒙することで、患者さんのより良い人生に貢献したい
と思っております。
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薄毛対策に亜鉛が効果的?
亜鉛には「ケラチン」と呼ばれる、髪の毛の主成分を生み出す働きがあります。
ケラチンは髪の毛の主成分として、実に90%以上を占めるため、亜鉛は髪の毛の生成には欠かせない栄養素であると言えます。
亜鉛だけで薄毛対策に効果があるとは言い切れませんが、上記のような意味合いでは亜鉛は髪の毛にいい栄養素であることは間違い無いでしょう。
亜鉛の育毛効果についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
亜鉛のサプリは食べすぎ注意
まず、基本的な食事を続けているだけなら、亜鉛を過剰摂取してもデメリットを気にしすぎる必要はありません。
しかし、厚生労働省の定める「耐用上限量」を越えて亜鉛のサプリを長期間大量摂取すると、過剰摂取となる恐れがあります。
実際に、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」でも過剰摂取の危険性を明記しています。
通常の食品において過剰摂取が生じることはなく、サプリメントや亜鉛強化食品の不適切な利用に伴って過剰摂取が生じる可能性がある。
引用:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
長期間に渡る大量摂取は危ない
亜鉛のサプリを長期間大量摂取すると、「銅欠乏性」などの症状を引き起こしてしまう危険性があります。
症例として、「『牡蠣を1日平均300g食べる生活』を5年続けた女性が銅欠乏性になった」というケースが報告されています。
本例では著しい偏食を 5 年以上継続していたことが判明し,特に牡蠣の多量摂取を継続していたことが特徴的であった.
こちらのケースでは、厚生労働省が定めた亜鉛の耐用上限量35mg/日を2倍以上も上回っていたそうです。
男性に関しても、このような報告がされています。
より低用量の亜鉛摂取における毒性の報告は少ないが,50 mg/日の亜鉛内服を 6 週間継続した成人男性において,銅欠乏をより鋭敏に反映する SOD 活性の低下が認められることがわかっており 10),亜鉛欠乏症の治療においても亜鉛投与は 45 mg/ 日以下に制限することが望ましいとされている
亜鉛を摂取する際はかならず耐用上限量を越えないようにし、摂取目安量程度に留めましょう。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
亜鉛ばかりを取り入れても良くない
亜鉛は髪に良い影響を与える栄養素であることは間違いありません。
なぜなら、髪の素となる成分「ケラチン」の生成をサポートする役割があるからです。
しかし、だからといって亜鉛ばかりを取り入れるのも髪にとってデメリットです。
亜鉛を意識するあまりタンパク質の量が減ってしまうと、健康な髪が育ちません。
亜鉛のサプリはあくまで髪を成長させるための「補助」として使ってください。
亜鉛を長期間大量摂取することのデメリット
万が一、亜鉛を長期期間大量摂取してしまうと銅欠乏症を引き起こしやすくなります。
また、「前立腺がんのリスクが高まる」という報告もあるので注意してください。
過剰摂取した際の症状
耐用上限量を越えて亜鉛サプリを摂取すると、このような症状に見舞われる恐れがあります。
- 悪心
- 嘔吐
- 食欲不振
- 腹部痙攣
- 下痢
- 頭痛
これらの症状が見られた場合は、亜鉛サプリの量を調節してください。
調節せずに亜鉛を過剰摂取しすぎた場合、「銅欠乏症」などを引き起こしやすくなる、というデメリットがあります。
銅欠乏症などのリスク
銅欠乏症には、このような症状があります。
- 疲労
- 貧血
- 白血球数の減少
- 骨粗しょう症
- 神経の損傷
- 筋力の低下
- 錯乱
- 易怒性
- 軽度の抑うつ
- 協調運動障害
参考:MSD マニュアル家庭版
このような症状が見られた場合は、すぐに医療機関の診察を受けましょう。
なお、「進行した神経症状は治療への反応が悪い」という報告もあります。(参考:銅欠乏の症状と診断)
早期発見・早期治療することによって回復も早くなるので、忙しくてもかならず医療機関を利用するようにしてください。
前立腺がんのリスクが高まるという報告も
さらに、男性は前立腺がんのリスクが高まるという報告もあるので注意してください。
アメリカ国立がん研究所 (NCI) のLeitzmannらは, 男性保健職約5万人からなるHealth Professional Fellow-Up Study によるコホート調査*の結果, 亜鉛サプリメントを服用している男性に前立腺がんが発生する頻度が高まるとの報告を発表した(2). この報告によると, 100mg/日以上の亜鉛サプリメントを10年以上摂取している男性にその危険が高まるという.
「100mg/日以上の亜鉛サプリメントを10年以上摂取」した場合であるため、通常の量なら心配する必要はありません。
繰り返すようですが、亜鉛のサプリは目安摂取量をきちんと意識しましょう。
亜鉛サプリのメリット
亜鉛サプリを過剰摂取すると健康被害のデメリットがあります。
一方で、亜鉛には髪に対するさまざまなメリットがあるのも事実です。
髪の3大栄養素の1つ
そもそも亜鉛は、これら「髪の3大栄養素」の1つとされています。
- タンパク質
- ビタミン
- 亜鉛
上でも軽く触れましたが、亜鉛はタンパク質をケラチンに変える上で重要な役割を果たします。
亜鉛が不足するとケラチンに変わりにくくなってしまうため、髪が十分に育たないのです。
5αリダクターゼの抑制が期待できる
イギリスの研究結果によれば、亜鉛は「5αリダクターゼ」の抑制が期待されています。
5αリダクターゼとは、男性ホルモンであるテストステロンを抜け毛作用のあるDHT(ジヒドロテストステロン)に変えてしまうという酵素です。
つまり、亜鉛によって5αリダクターゼを抑えられればAGAの進行を阻止できる可能性があるわけです。
ただし、「研究段階の話である」という点に注意してください。
亜鉛が多く含まれる食材
亜鉛が多く含まれる食材には以下のような食材が挙げられます。
- 魚介類(牡蠣、いわし、しらす、うなぎなど)
- 肉類(豚、牛、鶏など)
- 藻類(のり、わかめ、あおさ、ひじきなど)
- 野菜類(切り干し大根、えだまめ、しそなど)
- 豆類(きな粉、油揚げ、あずきなど)
- 種実類(かぼちゃ、ごま、アーモンドなど)
特に牡蠣には100gあたり14.5㎎もの亜鉛が含まれています。
普段自炊しない人でも、スーパーのお惣菜コーナーなどで意識して選ぶのがおすすめです。
薄毛は亜鉛の摂取ではなく治療で改善
今まで説明してきたとおり、亜鉛サプリの過剰摂取には健康被害などのデメリットがあります。
一方、髪にとって大事な栄養素であり、薄毛予防にも一定の効果が期待されています。
ただ、亜鉛はAGAの原因を根本から治療できるものではありません。
AGAは治療しない限りどんどん進行してしまうので、早めに対処しましょう。
まずはAGA管理アプリのHIXで、自分の薄毛をチェックしてみてください。