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【薬剤師監修】クレアチンははげる?様々な実験のデータから解説!DHTレベルも上がるという報告も!

筋トレをして、筋力UPサプリメントを飲んでいるかたは、一度は「クレアチンははげるって本当?」という心配を抱いたことがある人も多いと思います。筋肉増強には欠かせないクレアチンですが筋肉を大きく育てたいけどハゲたくないと思う人はたくさんいますよね。

効率の良い筋肉の動きには欠かせない効果のあるクレアチンですが、結論を言うと「クレアチンがはげる」という確実なエビデンスはないものの、そうとも言い切れない部分もあり不安な方は飲まないようにするのがおすすめです。

この記事では、クレアチンとはげのもどかしい関係性やAGAの原因などを解説します。

この記事の監修者

中川陽子
中川陽子薬剤師・医学修士
北海道大学大学院卒業
薬局薬剤師としてAGAや壮年期脱毛症、円形脱毛症の医薬品調剤や服薬相談を多数経験
薄毛の悩みを解決できる医学薬学知識を啓蒙することで、患者さんのより良い人生に貢献したい
と思っております。

現在クレアチンを飲んでいる方で「はげてきたかも」と感じる場合、まずは専門家に相談することをおすすめします。専門家に相談できるAGA管理アプリHIXについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

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【結論】クレアチンがはげるかどうかは真偽不明

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クレアチンとはげの関係性ですが、2024年時点でわかっていることをまとめると以下のとおりです。

  • 過去にDHTレベルが上昇した実験データがある
  • 確実なエビデンスはなくわからないまま

それぞれ解説します。

過去にDHTレベルが上昇した実験データがある

2009年にステレンボッシュ大学がおこなった研究です。

ラグビー選手に3週間クレアチンを補給してもらい、DHT(ジヒドロテストステロン)がどのように変化したかを調べました。

結果は以下のとおりです。

After 7 days of creatine loading, or a further 14 days of creatine maintenance dose, serum T levels did not change. However, levels of DHT increased by 56% after 7 days of creatine loading and remained 40% above baseline after 14 days maintenance (P < 0.001). The ratio of DHT:T also increased by 36% after 7 days creatine supplementation and remained elevated by 22% after the maintenance dose (P < 0.01).

出典:National Library of Medicine

<日本語訳>
クレアチン補給の7日後、またはクレアチン維持用量のさらに14日後、血清Tレベルは変化しませんでした。 ただし、DHTのレベルはクレアチン補給の7日後に56%増加し、14日間の維持後にベースラインを40%上回ったままでした(P <0.001)。 DHT:Tの比率も7日間のクレアチン補給後に36%増加し、維持量後も22%上昇したままでした(P <0.01)。

このように「DHTのレベルが56%増加した」と報告されています。

以上の点から過去にクレアチンを飲んでDHTレベルが上昇したケースがあるというのは間違いありません。

確実なエビデンスはなくわからないまま

一方で、上記した報告にはこのような続きもあります。

Creatine supplementation may, in part, act through an increased rate of conversion of T to DHT. Further investigation is warranted as a result of the high frequency of individuals using creatine supplementation and the long-term safety of alterations in circulating androgen composition. STATEMENT OF CLINICAL RELEVANCE: Although creatine is a widely used ergogenic aid, the mechanisms of action are incompletely understood, particularly in relation to dihydrotestosterone, and therefore the long-term clinical safety cannot be guaranteed.

出典:National Library of Medicine

クレアチンの補給は、部分的には、TからDHTへの変換率の増加を通じて作用する可能性があります。 クレアチンサプリメントを使用する個人の頻度が高く、循環アンドロゲン組成の変化の長期的な安全性の結果として、さらなる調査が必要です。 臨床的関連性の声明:クレアチンは広く使用されているエルゴジェニックエイドですが、特にジヒドロテストステロンに関しては、作用機序が完全には理解されていないため、長期的な臨床的安全性を保証することはできません。

完全に解明されたわけではなく、「さらなる調査が必要」と結論づけています。

一方で「DHTに関しては安全性を保証できない」と述べているため、抜け毛を気にする方はできる限りクレアチンの補給を避けたほうがいいでしょう。

以上をまとめると、たしかに「DHTレベルが上がった事実」はあるものの、調査は非常に限定的であるため、現時点では「クレアチンを飲むとはげる」とは言い切れません。

クレアチンの効果とは

クレアチンにはさまざまな効果が期待されています。
まず、身体的なパフォーマンスを高めるとされているのです。

無酸素性持久力、最大発揮パワー、仕事量、除脂肪量、ジャンプパフォーマンスおよびスプリントパフォーマンスなどもクレアチンの補給により有意に増大させることができる

出典:NSCA JAPAN|クレアチンモノハイドレートのサプリメント補給:アスリートの認知能力に関する留意点

次に、認知能力を高める効果も期待できます。
サンフランシスコ大学では、次のような研究結果があります。

クレアチンの補給は、脳虚血とそれに続く脳の酸素不足に対して神経を保護することが示されている

出典:NSCA JAPAN|クレアチンモノハイドレートのサプリメント補給:アスリートの認知能力に関する留意点

認知能力を高める効果にともなって、ストレス軽減にもつながるそうです。

クレアチンの補給が、認知機能の低下をいずれもたらす精神的ストレスを減らすことにおいて役割を果たす可能性がある。

出典:NSCA JAPAN|クレアチンモノハイドレートのサプリメント補給:アスリートの認知能力に関する留意点

あくまで研究段階ですが、このようなメリットがあるとされているのは事実です。

筋トレするとハゲるって本当?

クレアチンを飲んで筋トレしてもハゲるという確たる証拠は見つかっていません。
ハゲる原因はDHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンにあるからです。

筋トレしてもDHTが増えるわけではありません。
たしかに筋トレすると、男性ホルモンであるテストステロンの量は「増える」といわれています。
しかし、テストステロンとDHTは別物であり、脱毛因子や脱毛タンパクを放出するのはDHTだけなのです。
安心して筋トレに励んでください。

一方、クレアチンにはさまざまな効果があるとされる反面、多量摂取は非常に危険性が高いため気をつけましょう。

多量摂取で腎毒性・腎毒性の強い薬物との相互作用により、腎障害の悪化の可能性が指摘されています。

出典:厚生労働省|食物と薬の相互作用(健康食品編)

「飲んでもハゲるわけじゃないから」
「もっともっと筋肉をつけたいから」

このような考えで大量摂取してしまうと、そもそも別の思いもよらない健康被害に見舞われかねません。
サプリメントに書かれている用法用量を守って服用するのが大事です。

科学的に実証されているAGAの原因

大事なのは「科学的に実証されているAGAの原因を把握しておくこと」です。

科学的に実証されているAGAの原因として挙げられるのが以下の2点です。

  • 男性ホルモン
  • 遺伝

それぞれ解説します。

男性ホルモン

もっとも大きな原因は、上述もしましたがDHT(ジヒドロテストステロン)です。

なぜなら、DHTは毛母細胞にダメージを与える脱毛因子や脱毛タンパクを分泌するからです。

具体的に言うと、5αリダクターゼという酵素が男性ホルモンをDHTに変えることによってAGAは発症します。

AGAのヘアサイクル

クレアチンはあくまで「服用している間のDHTを増やす可能性がある」というだけであり、情報は非常に限局的です。

そのため、常用するのでなければクレアチンによってDHTが増えるのは「一時的である」と考えられます。

クレアチンを飲むことによって「AGAが発症しやすくなる」とは言えない可能性が高いので、安心してください。

遺伝

また、クレアチンによってDHTが増えても、すぐに「抜け毛の増加につながる」とは言えません。

DHTが脱毛因子や脱毛タンパクを放出するのは「アンドロゲンレセプター」と呼ばれる受容体に結びついたときだからです。

したがってDHTが増えても、アンドロゲンレセプターの感度が弱ければAGAは発症しないのです。

アンドロゲンレセプターの感度はX染色体を通して遺伝するとわかっています。

AGA 遺伝

つまり、母方の祖父がAGAなら自分もAGAになりやすいわけですね。

「AGAになりやすい人の特徴」に関しては、下の記事でもまとめています。

はげるリスクを負わずにマッチョになりたいならプロテインで代用

はげるリスクを気にするなら、クレアチンよりプロテインがおすすめです。

プロテインには「DHTが増えた」といった報告はないからです。

むしろ、プロテインは髪の生成に必要なタンパク質を効率的に摂取できます。

プロテインに関しては以下の記事で詳しくまとめています。

まとめ

クレアチンについてまとめます。

  • 「クレアチンはDHTのレベルを上げる」といった報告は存在する
  • ただし、限定的な調査なので「クレアチンははげる」とは言うには証拠が弱い
  • 気になる場合はプロテインで代用する

「クレアチンを飲まないから」と言って当然禿げないわけではありません。。

AGAは日本人男性の約30%に発症の可能性がある、と言われています。

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