湯シャンの正しいやり方は?気になる効果から注意点まで
「髪が短いし、シャンプー代がもったいないから湯シャンでいいよね」
「むしろ、湯シャンのほうが髪に良いのかもしれない」
男性の中には、このように考える方もいますよね。
大事なのは「湯シャンとは何か」を把握し「自分に合うかどうか」を判断することです。
そこでこの記事では、科学的なデータを用いて以下の点を解説します。
- 湯シャンで期待できる3つの効果
- 正しく湯シャンするための5ステップ
- 湯シャンをするときのポイントや注意点
最後まで読むことで湯シャンに関する科学的根拠に基づいた知識が身につき、「湯シャンするべきかどうか」がわかります。
この記事の監修者
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北海道大学大学院卒業
薬局薬剤師としてAGAや壮年期脱毛症、円形脱毛症の医薬品調剤や服薬相談を多数経験
薄毛の悩みを解決できる医学薬学知識を啓蒙することで、患者さんのより良い人生に貢献したい
と思っております。
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湯シャンとは?
湯シャンとは「シャンプーを使わずお湯だけで頭を洗う」というものです。
中には次のように感じる方もいるでしょう。
「お湯だけで汚れが落ちるの?」
頭皮の汚れは、お湯だけでも「70~80%は落ちる」と言われています。
つまり、ある程度汚れを落としたいだけなら湯シャンだけでも効果を得られる可能性があるのです。
もっとも「70~80%は落ちる」という点に科学的な根拠はなく、あくまで「そう言われている」だけです。
仮に事実だったとしても、「20〜30%」は汚れが残ってしまっています。
だからこそ、しっかりと湯シャンについて知識を深め「自分にとって必要かどうか」をジャッジするのがおすすめです。
湯シャンは効果なし?
湯シャンについて調べた場合、「次のような効果がある」と言われることが多いです。
- 頭皮の乾燥が緩和される
- フケが少なくなる
- 抜け毛が減る
- 白髪ができなくなる、など
結論を言えば、これらは「俗説」であり科学的な根拠はいっさいありません。
中には「白髪が減った」「抜け毛が少なくなった」といった意見もあります。
しかし、こういった意見のほとんどは「気のせい」か「違う対処法によって効果が出た」だけであり、湯シャンの効果ではない可能性が高いです。
一方で、「シャンプーは洗浄力が強すぎるし化学成分が含まれているから、頭皮や髪に良くないと聞いた」という方もいますよね。
シャンプーで髪を洗っても結局はお湯で洗い流すため、体質に合わない場合を除けば、頭皮や体に悪影響が出ることは基本的にありません。
むしろ、頭皮の汚れはシャンプーを使わないと落とせない、つまりお湯だけだと汚れが残ったままになってしまうケースもあります。
湯シャンで済ませるのではなく、かならずシャンプーで髪を洗うようにしましょう。
湯シャンで期待される効果
湯シャンは次の効果を期待できます。
- 頭皮の乾燥・フケの発生を抑える
- 湿疹やかゆみなど肌トラブルが軽減される
- 頭皮環境が整う
それぞれ解説します。
頭皮の乾燥・フケの発生を抑える
湯シャンは頭皮の乾燥やフケの発生を抑えられる可能性があります。
頭皮の乾燥は、シャンプーで頭を洗いすぎたことが原因で起こる場合も多いからです。
シャンプーで頭を洗いすぎると、頭皮環境の維持に必要な「油分」まで奪い取ってしまう場合があります。
そうするとかえって油脂が過剰分泌され、頭皮環境の悪化を招く恐れがあるのです。
頭皮の状態が悪化すると、乾燥やフケの原因になりかねません。
フケに関してはこちらの記事でも詳しく解説しています。
湿疹やかゆみなど肌トラブルが軽減される
肌が弱い人が強い洗浄力のシャンプーを使うと、湿疹やかゆみなどを引き起こすことがあります。
洗浄力が強いシャンプーは汚れを落とせる反面、頭皮や髪の毛に負担をかけてしまうからです。
湯シャンは刺激を抑えられるので、頭皮のトラブルを改善できる可能性があります。
頭皮環境が整う
湯シャンは頭皮環境を整えられる可能性があります。
シャンプーと違って「すすぎ残し」が発生しないからです。
シャンプーのすすぎ残しがあると、酸化したり毛穴に詰まったりしてしまいます。
JHMA日本ヘッドセラピーマスター協会の調査によると、49%の方がシャンプーやトリートメントによって頭皮環境を悪化させているそうです。
頭皮の状態が悪い人の洗髪時間は平均3~4分と短く、トリートメントは、49%の人が直接地肌につけて使用しており、汚れの洗い残しや間違ったトリートメントが頭皮の状態を悪化させていることが明らかになりました。
出典:PR TIMES
大事なのは「しっかり髪をすすぐ」という点です。
「しっかり髪をすすぐ」のが面倒だと感じる場合は、湯シャンを実行してみてもいいでしょう。
正しい湯シャンの方法5ステップ
湯シャンは正しい方法でやらないと、逆効果になりかねません。
おすすめの手順は以下のとおりです。
- シャンプー前にブラッシングする
- お湯の温度を38〜40℃に設定する
- 指の腹で頭皮をじっくりマッサージする
- 優しくタオルドライをする
- ドライヤーでしっかり乾かす
5つのステップを詳しく解説します。
①シャンプー前にブラッシングする
まず、シャンプー前にブラッシングしましょう。
湯シャンはシャンプーで頭を洗うよりも汚れを落としにくいからこそ、ブラッシングという下準備が必要なのです。
ブラッシングするとホコリなどの汚れを落とすことができ、湯シャンの効果を高められます。
いきなりお湯で頭を洗い流しても、汚れを綺麗に落とすことはできません。
根元ではなく毛先からブラッシングしてください。
毛先は絡まりやすいため、ほぐすことで全体を綺麗にブラッシングできます。
ゆっくりと丁寧にブラッシングしましょう。
②お湯の温度を38〜40℃に設定する
お湯の温度は38~40℃がおすすめです。
高すぎると頭皮が乾燥する原因になってしまいます。
上述したとおり、頭皮の乾燥はフケの大量発生などを引き起こす恐れがあります。
熱すぎるお湯は避けましょう。
③指の腹で頭皮をじっくりマッサージする
ただお湯で流すだけではなく、3〜5分程度、頭皮マッサージするのもおすすめです。
お湯を当てながら頭皮マッサージすることで、汚れを落とすだけじゃなく血行の促進も期待できます。
マッサージは指の腹を使ってじっくり揉み込みます。
強すぎず弱すぎない力でマッサージをすることで、湯シャンの効果を高められるのです。
具体的にはこちらを参考にしてください。
髪と髪を擦りつける方法で洗ってしまうと、摩擦で髪が痛みやすくなってしまいます。
湯シャンをするときは揉み洗いを心がけてください。
④優しくタオルドライをする
まずはタオルドライをして水分を取っておくことが大事です。
ドライヤーの時間が長くなると、髪へのダメージが蓄積されてしまうからです。
タオルドライは根元からおこないます。
頭全体を包み、指を立てて根元周辺の水分を除去しましょう。
毛先の部分は、毛と毛を擦り合わせないように、タオルで挟み込むようにしてやさしく押してください。
吸水性に優れたタオルを使うことで、十分な水分を取り除くことができます。
タオルでゴシゴシするのは、髪の毛に良くないのでおすすめしません。
⑤ドライヤーでしっかり乾かす
タオルドライで水分を取り除いたら、ドライヤーを使って完全に乾かします。
ドライヤーを使う際は「同じ場所に温風を当て続けないこと」を意識しましょう。
同じ場所に温風を当て続けてしまうと、乾燥の原因になってしまいます。
髪がダメージを受ける原因にもなるため、風を散らしながらドライヤーしてください。
乾かす場所の順番としては、根元から毛先に流すように乾かします。
時間をかけずにドライヤーすることで、髪へのダメージを抑えられます。
湯シャンをするときのポイント&注意点
湯シャンにはいくつか注意点があります。
ここでは理解しておくべきポイントと注意点を5つ紹介します。
- 脂性肌だと皮脂汚れや頭皮のニオイを落とせない可能性がある
- 整髪料はお湯だけでは落ちにくい
- 効果を感じるまで半年~3年かかる
- 徐々に湯シャンにならしていくのがおすすめ
- 場合によってはリンス・コンディショナーは使用してもOK
冒頭でもお伝えしたとおり、頭皮のケアはあくまで「シャンプーで髪を洗うこと」が基本です。
脂性肌だと皮脂汚れや頭皮のニオイを落とせない可能性がある
脂性肌の方は、湯シャンではなくしっかりとシャンプーで髪を洗ってください。
頭皮のニオイを落とせない可能性があるからです。
特に、頭皮は体の中でも「皮脂腺が多い」とわかっています。
頭皮は、身体中で最も皮脂腺が多く、汗腺は手のひら足の裏に次いで3番目に多い、すなわち皮脂や汗の分泌量が多い部位です。
出典:花王
汗に含まれる脂質やタンパク質、アミノ酸などが酸化すると、ニオイの原因となる常在菌が異常繁殖してしまいます。
これらは「お湯」だけでは取り除けません。
脂性肌の方におすすめのシャンプーはこちらの記事で紹介しています。
整髪料はお湯だけでは落ちにくい
ヘアワックスやジェルなどをつける人も、湯シャンをおすすめしません。
整髪料はほとんどが「油」であり、お湯だけでは落ちにくいからです。
整髪料を落としきれないと、湿疹や頭皮が荒れる原因になります。
詳しくは下の記事をご覧ください。
効果を感じるまで半年~3年かかる
湯シャン効果を感じたいのなら、継続することが大事です。
なぜなら、すぐに効果が出るものではないからです。
シャンプーでケアするのがおすすめですが、湯シャンの効果を実感してみたいなら「半年〜3年」程度続けましょう。
徐々に湯シャンにならしていくのがおすすめ
いきなり湯シャンに変えるのはおすすめしません。
はじめたての頃は効果が出にくいうえに、頭がベタついてしまうからです。
最初から湯シャンするのではなく、徐々にならしていきましょう。
たとえば、シャンプーの量を少しずつ減らしたり、湯シャンの日とシャンプーで洗う日を交互に分けたりするのもおすすめです。
そうやって「自分が湯シャンに向いているかどうか」をチェックしてみても悪くありません。
場合によってはリンス・コンディショナーは使用してもOK
湯シャンをしているからといって、「絶対にリンスやコンディショナーを使ってはいけない」というわけではありません。
むしろ、リンスやコンディショナーを使わないとなると髪の毛にツヤが出なかったりきしんだりすることがあります。
このような状態にならないよう、状態を見ながらリンスやコンディショナーを使うようにしてください。
リンスやコンディショナーを使うときは、頭皮に触れないよう注意してください。
基本的に、髪が傷むのは毛先が多いです。
根元はそこまで傷まないので、毛先だけにつけるイメージで使ってみましょう。
湯シャンに関するよくある勘違いを要チェック!
ここでは科学的根拠に基づいて、湯シャンに関するよくある勘違いを確認します。
今回確認するのは以下の4点です。
- 湯シャンすると髪が傷む?
- 湯シャンをしたら白髪は改善される?
- 湯シャンで薄毛が進行する?
- 湯シャンには育毛・増毛効果がある?
それぞれ解説します。
湯シャンすると髪が傷む?
痛みません。
しかし、シャンプーでケアしたほうがダメージを軽減できます。
高分子学会の論文を紹介します。
As a result, it is clear that a scale-forming material, like a cuticle, is deposited in the keratinization region, and the frizzled hair became straight, because of using shampoo agent and conductive treatment agent containing hematin.
<執筆者訳>
その結果、角質化領域にキューティクルのような鱗屑形成物質が沈着し、シャンプー剤とヘマチンを含む導電性処理剤を使用したことにより、縮れた髪が真っ直ぐになったことがわかります。
出典:CiNii
このようにシャンプーしたことによって、「縮れた(傷んだ)髪が修復された」とわかっているのです。
髪のダメージを気にするなら、シャンプーでケアしましょう。
湯シャンをしたら白髪は改善される?
「白髪は改善される」とは言えません。
湯シャンと白髪の原因は「なんの関係もない可能性が高い」からです。
もっとも、白髪の原因が明らかになっていないのも事実です。
しかし、「湯シャンが白髪を改善した」というエビデンスもないため「関係がない」と言えるでしょう。
湯シャンで薄毛が進行する?
「何が原因で発症した薄毛なのか」によります。
薄毛の原因にはさまざまな種類があります。
- AGA
- 円形脱毛症
- 頭皮環境の悪化
- 老化など
このうち「頭皮環境の悪化」で発生した薄毛の場合、湯シャンで進行する可能性があるでしょう。
上述したとおり、湯シャンは頭皮の汚れをすべて落とせるわけではありません。
つまり、湯シャンを続けているとどんどん汚れが溜まってしまう危険性があるのです。
湯シャンをおすすめしない理由に関しては、以下の記事でも解説しています。
湯シャンには育毛・増毛効果がある?
湯シャンしても、育毛や増毛の効果は得られません。
科学的に立証されたメリットがないからです。
人によっては育毛効果を見出す方もいるでしょうが、増毛・発毛効果はありません。
国内において発毛効果が認められているのは「ミノキシジル」だけです。
髪を増やしたいならミノキシジル発毛剤を利用するのがおすすめです。
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