女性の薄毛はなぜ起こる?原因と対策を徹底解説
薄毛は女性にとっても深刻な悩みです。
髪のボリュームは見た目年齢だけでなく、精神面にも大きな影響を及ぼすからです。
ここでは、女性の薄毛が起こる原因と対策を徹底的に解説します。
- 女性が薄毛になる5つの原因
- 女性の薄毛でよくある6つの症状
- 女性の薄毛予防・進行を抑制する7つの対策
薄毛にお悩みの方はもちろんのこと、いつまでも健康的な髪を維持したいという方もぜひチェックしてみてください。
この記事の監修者
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北海道大学大学院卒業
薬局薬剤師としてAGAや壮年期脱毛症、円形脱毛症の医薬品調剤や服薬相談を多数経験
薄毛の悩みを解決できる医学薬学知識を啓蒙することで、患者さんのより良い人生に貢献したい
と思っております。
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女性の薄毛の原因とは?
女性の薄毛は、はっきりと原因がわかっていません。
ただ、よく挙げられるのが以下の5つです。
- 日々のストレス
- 過剰なダイエット
- 生活習慣やホルモンバランスの乱れ
- 間違ったヘアケア
- ヘアカラーやパーマによるダメージ
それぞれ簡単に説明します。
日々のストレス
ストレスは一時的な抜け毛や薄毛を引き起こす恐れがあります。
自律神経が乱れ、頭皮の血行が悪くなるのです。
過剰なダイエット
過剰なダイエットも薄毛を引き起こす原因の一つです。
ダイエットによって栄養が不足すると、丈夫な髪が育ちにくくなってしまいます。
生活習慣やホルモンバランスの乱れ
女性ホルモンの一種「エストロゲン」には髪の成長を促すはたらきがあります。
生活習慣の乱れによってホルモンバランスが崩れるとエストロゲンの分泌量が減少し、抜け毛や薄毛を引き起こしやすくなります。
間違ったヘアケア
間違ったヘアケアも、髪にとってはダメージとなります。
- 一日のうちに何度もシャンプーをする
- 刺激の強すぎるシャンプーを使う
- 頭皮に爪を立てて洗う
このような洗い方は控えましょう。
ヘアカラーやパーマによるダメージ
おしゃれに欠かせないヘアカラーやパーマも、頻繁に繰り返すと髪や頭皮にダメージが蓄積します。
最悪の場合、抜け毛や薄毛、切れ毛の原因になってしまいます。
女性の薄毛でよくある症状
女性の薄毛にはさまざまな症状があります。
- 女性型脱毛症(FAGA)
- びまん性脱毛症
- 分娩後脱毛症
- 慢性休止期脱毛症
- 脂漏性脱毛症
- 円形脱毛症
ここでは、女性の薄毛によくある症状や発症のメカニズムについて詳しく解説します。
女性型脱毛症(FAGA)
女性型脱毛症(FAGA)とは、その名のとおり、女性に見られる脱毛症です。
詳しい原因はわかっていませんが、何らかの理由で女性ホルモンが低下し、相対的に男性ホルモンの量が増えてしまうことで引き起こされると言われています。
女性型脱毛症(FAGA)の特徴は以下のとおりです。
- 頭髪全体が薄くなる
- 髪が痩せる(細くなる)
- 頭頂部が薄毛になりやすい
男性ホルモンは女性の体にも一定量存在します。
通常は女性ホルモンの量が勝っているため、女性は男性に比べて薄毛になりにくいと考えられているのです。
ホルモンバランスが崩れると髪の成長を促す女性ホルモン「エストロゲン」が十分に分泌されなくなり、女性型脱毛症(FAGA)の発症リスクが高まると示唆されています。
びまん性脱毛症
「びまん性脱毛症」とは「びまん性=広範囲」に渡って薄毛の症状が現れる脱毛症です。
びまん性脱毛症の特徴は以下のとおりです。
- 髪全体のボリュームが減少する
- 分け目が広くなる
- 髪の合間から地肌が透けて見える
男性の薄毛によくある「生え際が後退する」といったの症状は、びまん性脱毛症ではあまり見られません。
びまん性脱毛症を引き起こす主な原因は2つあります。
- 女性型脱毛症(FAGA)
- 慢性休止期脱毛症
女性型脱毛症(FAGA)は上述したとおりです。
慢性休止期脱毛症はヘアサイクルの乱れによって引き起こされる脱毛症で、詳しくは後述します。
分娩後脱毛症
「分娩後脱毛症」とは「産後脱毛症」とも呼ばれる女性特有の脱毛症です。
個人差はありますが、抜け毛のピークは産後3ヵ月〜半年程度とされています。
妊娠中は女性ホルモンの「エストロゲン」や「プロゲステロン」の分泌量が増えます。
女性ホルモンには髪の健康を維持したり成長を促進したりする働きがあるため、妊娠中は髪がボリュームアップする人も少なくありません。
しかし、出産すると女性ホルモンの分泌量は激減します。
そうすると、妊娠中はホルモンの働きによって抑制されていた抜け毛が一気に進行し、一時的に薄毛になってしまうのです。
また、出産直後は子育てによるストレス・睡眠不足・過労などが重なりかねません。
母体の栄養が母乳の生成に多く奪われることも抜け毛や薄毛の一因となります。
分娩後脱毛症は生理現象の一種であるため、多くの場合、産後6か月〜1年程で症状は自然と回復します。
慢性休止期脱毛症
「慢性休止期脱毛症」は本来成長期にあるべき髪が休止期に入ってしまうことで、髪の成長が遅れて薄毛が引き起こされる脱毛症です。
慢性休止期脱毛症の特徴は以下のとおりです。
- 6か月以上症状が続く
- 側頭部の髪も脱毛する
- 軟毛(細く柔らかい髪)が有意に増加しない
側頭部の脱毛や軟毛が増加しない点は「女性型脱毛症(FAGA)」とよく似ています。
慢性休止期脱毛症の原因は分かっておらず、治療に苦慮することも珍しくありません。
脂漏性脱毛症
「脂漏性脱毛症」は脂漏性皮膚炎が原因となって引き起こされる脱毛症です。
脂漏性皮膚炎は皮脂の過剰な分泌により、頭皮の炎症・ニキビ・湿疹などが生じる病気です。
脂漏性皮膚炎によって頭皮環境が悪化することで、脂漏性脱毛症に繋がってしまいます。
脂漏性脱毛症の原因はさまざまですが、よく挙げられるのは以下のとおりです。
- マラセチア(カビ)
- ホルモンバランスの崩れ
- 間違ったヘアケア
- ハウスダストなど
以下の症状が見られる場合、脂漏性脱毛症の恐れがあるといえるでしょう。
- シャンプーをしているのにフケが増える
- 湿り気のあるフケが出る
- 頭皮にかゆみや炎症、ニキビ、湿疹などが生じる
まずはシャンプーを変えてみるのがおすすめです。
脂漏性皮膚炎・脂漏性湿疹の方におすすめのシャンプーは以下の記事で紹介しています。
円形脱毛症
「円形脱毛症」は、頭髪が部分的に円形〜楕円形に抜けてしまう脱毛症です。
円形脱毛症の原因は、以下が関与しているのではないかとされています。
- 自己免疫疾患
- アトピー体質
- ストレス
- 遺伝
- 産後のホルモンバランスの崩れ
しかし、はっきりしたことは分かっていません。
今まで説明してきた脱毛症と違って、短期間で一気に抜けてしまうのが特徴です。
詳しくは下の記事をご覧ください。
女性の薄毛予防・進行抑制のための対策は?
女性にとって、薄毛は精神的にも肉体的にも大きなストレスです。
ここでは、すぐに始められる女性の薄毛予防・進行抑制のための対策を7つ紹介します。
- 質の良い睡眠を取る
- 栄養バランスの整った食生活
- 頭皮を傷つけないようシャンプーする
- 頭皮マッサージを行う
- 有酸素運動をする
- 育毛アイテムを使用する
- 病院で治療を受ける
それぞれ解説します。
質の良い睡眠を取る
髪の健康と睡眠の間には深い関わりがあります。
育毛に欠かせない成長ホルモンは睡眠時に分泌されるからです。
成長ホルモンが分泌されると、体内にIGF-1(インスリン様成長因子1)という物質が生成されます。
IFG-1には次のような効果があるとされています。
- 髪の元となる毛母細胞の活性化
- 血行の改善
- 髪を構成するタンパク質の量を増やす
- 頭皮の炎症を抑える
つまり、IFG-1が生成されることで抜け毛予防を期待できることができるのです。
しかし、生活習慣の乱れなどで睡眠の質が低下すると、成長ホルモンが十分に分泌されなくなります。
その結果、IGF-1が生成されなくなって薄毛になるリスクが高まるのです。
栄養バランスの整った食生活
薄毛には食生活の乱れも大きく関係しています。
栄養バランスの偏りによって頭皮の血行不良や栄養不足が起きると、健康な髪が育ちにくくなるのです。
薄毛を引き起こしやすい食事は以下のとおりです。
- 糖分の多い食事
- ジャンクフード
- アルコール
糖分の多い食事は血糖値を上昇させ、血行不良を引き起こす恐れがあります。
また、ジャンクフードなど脂質を多く含む食事は皮脂の過剰分泌の原因になります。
アルコールは体内で分解される際に栄養成分を消費するため、必要な栄養素が髪に行き届かなくなってしまうのです。
薄毛予防・進行抑制には以下の栄養素を多く含む食材がおすすめです。
- タンパク質
- ビタミンB
- 亜鉛
中でも肉・魚・卵・乳製品・大豆・あさり・レバー・まいたけなどの食材を積極的に摂取すると良いでしょう。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
頭皮を傷つけないようシャンプーする
髪や頭皮をしっかり洗いたいからといって、洗浄力の強いシャンプーを使ったり、強い力でごしごし洗ったりするのは禁物です。
誤ったヘアケアは逆に薄毛を進行させかねません。
正しいシャンプーの手順は以下のとおりです。
- お湯で予洗いをする
- 十分に泡立てながらシャンプーをする
- 髪や頭皮をしっかりすすぐ
- コンディショナーをつける(洗い流さないタイプならタオルドライのあと)
- コンディショナーをしっかりすすぐ
- タオルドライをする
- ドライヤーで乾かす
予洗いやすすぎの際に使用するお湯の温度は、38〜40℃程度に調整しておきましょう。
お湯の温度が熱すぎると、髪や頭皮を傷めたり必要な皮脂まで洗い落としてしまったりする恐れがあります。
また、シャンプーをする際は、爪を立ててごしごし洗うのではなく、指の腹を使って頭皮を優しくマッサージするように洗うと良いでしょう。
頭皮マッサージを行う
硬くなった頭皮をほぐして血行を促進する頭皮マッサージも、薄毛予防や進行抑制には効果的です。
血流が良くなることで髪に十分な栄養が届けられるようになり、健康的な髪を育成できます。
また、頭皮マッサージには毛穴の詰まりを解消する効果やリラックス効果なども期待できます。
このように、頭皮マッサージはさまざまな面で薄毛対策に有効と言えるのです。
自宅で簡単に実践できるマッサージの方法は以下の動画をご覧ください。
ヘアマッサージに関しては、下の記事でも詳しく解説しています。
有酸素運動をする
ウォーキング・ジョギング・水泳などの有酸素運動も、薄毛対策や進行抑制に有効です。
有酸素運動には毛細血管を増やし血行を促進する効果があります。
血行の改善によって頭皮全体に十分な栄養素が行き届き、健康な髪を育てることができるのです。
毛細血管が増えて血流が良くなると、新陳代謝が促され老廃物が体外に排出されやすくなります。
頭皮環境が良くなるだけでなく、疲労回復など全身への効果も期待できるわけですね。
さらに、適度な運動は質の良い睡眠にもつながります。
髪の健康と睡眠の関係は前述したとおりです。
このように、有酸素運動はさまざまな方面においてプラスの効果をもたらします。
育毛アイテムを使用する
髪の成長に必要な栄養を頭皮に直接与えられる育毛アイテムは、薄毛対策・進行抑制に効果的です。
ただし、育毛アイテムを使用する際には、必ず「女性用」と書かれた商品を選ぶようにしましょう。
男性と女性では薄毛のメカニズムが異なるため、誤って男性用を使用してしまうと十分な効果が得られなかったり、思わぬトラブルを引き起こしたりする恐れがあります。
育毛アイテムは使い始めてすぐに効果が得られるものではないため、気長にケアを続けることが大切です。
病院で治療を受ける
セルフケアだけではなかなか症状が改善しない場合は、病院で治療を受けるという選択肢もあります。
特に、以下のような症状が見られる場合は受診を検討した方が良いでしょう。
- 頭皮に腫れやかゆみがある
- 毎日シャンプーをしてもフケが大量に出る
- 全体的に髪が薄くなり地肌が見えている
腫れやかゆみがある・フケが大量に出るときは、頭皮に炎症などのトラブルが起きている可能性があります。
この場合、まずは病院を受診して頭皮の治療を行わなければなりません。
また、頭部全体で地肌が見えるほど髪が薄くなってきたときは、前述した「びまん型脱毛症」の恐れがあります。
この場合も、しかるべき病院に受診して適切な治療を受けることが望ましいといえます。
女性の薄毛に関するよくある質問
女性の薄毛に関してよくある質問を紹介します。
ここで回答するのは以下の質問です。
- Q.男性の薄毛と女性の薄毛の違いは?
- Q.男性向け育毛ケアアイテムは使える?
- Q.病院ではどのような治療を行うの?
ぜひ最後までご覧ください。
男性の薄毛と女性の薄毛の違いは?
男性の薄毛の原因で最も多いのは「男性型脱毛症(AGA)」です。
「日本人男性の約30%が男性型脱毛症を発症している」といわれています。
男性型脱毛症は、男性ホルモが毛包の中にある「5αリダクターゼ」という酵素と結びつき、ジヒドロテストステロン(DHT)を生成することで発症します。
ジヒドロテストステロンは髪を作る素となる「毛乳頭」内の男性ホルモン受容体(アンドロゲンレセプター)と結合し、脱毛の命令を出します。
その結果、抜け毛や薄毛が起きるのです。
一方、女性の薄毛は女性ホルモン「エストロゲン」の減少で発症すると考えられています。
髪の健康を維持するのに重要な働きを持っているエストロゲンは、40歳頃から減少していきます。
その結果、髪が細くなる・ハリやコシがなくなるといった現象が起き、薄毛へとつながっていくのです。
ただし、「女性型脱毛症(FAGA)」など男性ホルモンが関与する脱毛症も存在するため、原因を一括りにすることは難しいといえます。
男性向け育毛ケアアイテムは使える?
女性の薄毛対策にはかならず「女性用」と書かれた育毛アイテムを使うようにしましょう。
上述したとおり、男性と女性では薄毛のメカニズムが異なる場合が多いため、男性向け育毛アイテムを使っても良い効果を得られない恐れがあるからです。
たとえば「ミノキシジル」などの有効成分は、男性向けに比べて濃度が低く設定されています。
また、女性向け育毛ケアアイテムにはヒアルロン酸などのヘアケア成分が配合されたものも多く、薄毛対策だけでなく美髪効果も期待できる点が特徴です。
Q.病院ではどのような治療を行うの?
薄毛の治療を受けたい場合は、まずは皮膚科を受診しましょう。
薄毛治療を標榜している病院・クリニックがおすすめです。
詳しい流れは施設によって異なりますが、一般的には医師による問診の後、頭皮の状態のチェック・血液検査といった検査を行い、薄毛の原因の診断・治療へと進みます。
主な治療方法は以下のとおりです。
- 発毛効果のある外用薬の塗布
- 有効成分の頭皮への散布、注射
- 育毛シャンプーやトリートメントを使ったヘアケア
この他に低出力レーザー治療機器を使った治療や、薄毛部分をカバーするヘアアートメイクなどを行っている病院・クリニックもあります。
まとめ
女性の薄毛について、原因や対策を詳しく紹介してきました。
最後に、ここまでの内容をまとめます。
女性の薄毛原因
- 日々のストレス
- 過剰なダイエット
- 生活習慣やホルモンバランスの乱れ
- 間違ったヘアケア
- ヘアカラーやパーマによるダメージ
女性の薄毛でよくある症状
- 女性型脱毛症(FAGA)
- びまん性脱毛症
- 分娩後脱毛症
- 慢性休止期脱毛症
- 脂漏性脱毛症
- 円形脱毛症
女性の薄毛予防・進行抑制のための対策
- 質の良い睡眠を取る
- 栄養バランスの整った食生活
- 頭皮を傷つけないようシャンプーする
- 頭皮マッサージを行う
- 有酸素運動をする
- 育毛アイテムを使用する
- 病院で治療を受ける
女性の薄毛は一人で悩みを抱え込んでしまいがちです。
薄毛を解消するためにも、こちらで紹介した内容を参考にしてみてください。