フィナステリド(プロペシア)とは?効果・副作用・服用時の注意点を解説!
「フィナステリドってどんな薬?」
「フィナステリドの効果や副作用が知りたい」
フィナステリドは、男性型脱毛症(AGA)の進行を抑えるための治療薬として世界中で使用されています。
この記事では薄毛治療を始めようと考えている方に向けて、以下の点をわかりやすく説明しています。
- フィナステリドの成分や効果
- フィナステリドの副作用や注意点
- フィナステリドとAGA治療に使われているその他の成分との違い
記事の後半には、多くの方が気になる「フィナステリドに関するよくある質問」にも答えているので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の監修者
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北海道大学大学院卒業
薬局薬剤師としてAGAや壮年期脱毛症、円形脱毛症の医薬品調剤や服薬相談を多数経験
薄毛の悩みを解決できる医学薬学知識を啓蒙することで、患者さんのより良い人生に貢献したい
と思っております。
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AGAの治療薬に含まれる「フィナステリド」とは?
フィナステリドは、AGAの進行を抑えてヘアサイクルを正常に戻すために使われている薬です。
アメリカの医薬品管理局である「FDA」にAGA治療薬として認可され、世界中で利用されています。
もともとフィナステリドは前立腺肥大症の治療薬として開発されました。
投与した患者の髪の毛が濃くなったため、AGAの治療薬として使用されるようになったのです。
フィナステリドが有効成分として配合されているプロペシアは、2005年に厚生労働省の許可を受け販売されています。
また、フィナステリドはプロペシアのジェネリック医薬品として販売されている商品名でもあります。
ジェネリック医薬品が発売されたことで患者の負担が抑えられたため、AGA治療を受けやすくなりました。
フィナステリドが含まれるAGA治療薬
フィナステリドが含まれているAGA治療薬として代表的なのは「プロペシア」です。
ジェネリック医薬品としては「フィナステリド錠」や「フィンペシア」などがあります。
名前は違っても有効成分は変わらないため、AGAの進行を遅らせる効果が期待できます。
むしろ、フィナステリドは最低でも6ヶ月以上使わなければならないため、できるだけ安く手に入れるのが大事です。
しかし、フィンペシアは未承認薬で安全面や品質が保証されていません。
国から承認されている「プロペシア」やジェネリック医薬品の「フィナステリド錠」を服用したほうがよいでしょう。
フィナステリド(プロペシア)の効果
フィナステリドはヘアサイクルの成長期を正常の長さに戻し、抜け毛を抑制する効果があることが知られています。
フィナステリドの作用を説明する前に、薄毛の主な原因となっているAGAの発症メカニズムを説明しましょう。
AGAは5αリダクターゼという酵素が男性ホルモン(テストステロン)をDHT(ジヒドロテストステロン)に変換することで発症します。
変換されたDHTは毛乳頭細胞にあるアンドロゲンレセプターと結合すると、脱毛因子や脱毛タンパクを放出します。
フィナステリドは5αリダクターゼⅡ型の働きを抑制する効果があるため、DHTの生成を阻害しAGAの進行を抑えることにつながるのです。
フィナステリドが抜け毛を抑制する効果があることは臨床試験によって明らかになっています。
フィナステリド(1mg/日、0.2mg/日)を用いた、414名の「日本人」男性被験者を対象とした観察機関48週間のランダム化比較試験において、頭頂部の写真撮影による効果判定では、1mg/日では58%が軽度改善以上の効果があり、0.2mg/日では54%が軽度以上の効果がみられました。1mg/日投与2年では軽度改善以上が68%、3年では78%が軽度改善以上の効果が認められたということです。
ヘアサイクルとは?
ヘアサイクルとは、髪の毛が生えて抜け落ちることを繰り返している周期のことです。
以下3つのサイクルがあります。
- 髪の毛が成長する成長期
- 成長が止まり抜け落ちるまでの退行期
- 抜け落ちる準備と同時に新しい髪の毛が生えてくる準備をしている休止期
この3つが循環し、髪が生えてくるのです。
フィナステリド(プロペシア)の副作用
フィナステリド副作用として報告されているものは、主に以下の5つです。
- 男性機能の低下
- 肝機能障害
- 抑うつ症状
- 初期脱毛
- ポストフィナステリドシンドローム
それぞれ具体的にどのような症状があらわれるのか説明します。
ただ、どの副作用も発生頻度は低いため、それほど神経質になる必要はありません。
もっとも、服用して異常が現れたときのために、どのような副作用が報告されているかを知っておくべきです。
ご紹介する副作用以外の症状でも異常を感じたら、すぐに服用をやめ医師に相談しましょう。
男性機能の低下
フィナステリドを服用後、以下の症状が現れたという報告があります。
- 性欲減退や勃起不全
- 射精障害
- 精液量減少
- 睾丸痛
- 血精液症
- 男性不妊症
- 精液の質低下
ただ、プロペシアの添付文書には次のように記載されています。
注2) 本剤の投与中止後に、精液の質が正常化又は改善されたとの報告がある。
出典:プロペシア添付文書
肝機能障害
発症頻度は高くありませんが、肝機能障害が現れることがあります。
フィナステリドに限ったことではありませんが、肝臓で代謝される薬を服用すると肝臓に負担がかかるからです。
肝臓に異常がない方はそれほど気にする必要はありません。
もともと肝臓に異常がある方は、医師に相談してから服用し定期的に肝臓の状態を検査することをおすすめします。
抑うつ症状
抑うつ症状が現れたという報告があります。
これはフィナステリドが男性ホルモンに作用するため、体内のホルモンバランスが乱れることと関係していると考えられています。
初期脱毛
初期脱毛とは、フィナステリドを服用後、一時的に抜け毛が増えることです。
成長がとまって抜けやすい状態にある髪の毛が抜けて、新しい髪の毛が生えてくる過程で起こります。
初期脱毛は、乱れたヘアサイクルを正常に戻すための準備期間と考えてください。
期間は通常1~2ヶ月といわれていますが、個人差があり3ヶ月以上続く方もいます。
また、初期脱毛はフィナステリドを服用したすべての人に起こるわけではありません。
起こらなかったとしても「フィナステリドが効いてないということではない」ので安心してください。
ポストフィナステリドシンドローム
ポストフィナステリドシンドロームとは、フィナステリドの副作用が服用をやめたあとも改善しないことです。
2011年にアメリカ・ジョージワシントン大学の医師らの論文で症例が報告されました。
海外の強いフィナステリドを使った際に起こったとされるものであり、国内での報告はありません。
詳しくは下の記事をご覧ください。
フィナステリドを服用する時に絶対知っておきたい注意点
フィナステリドを服用する前に知っておきたいことは、以下の4点です。
- 効果が現れるまでは半年程度かかる
- 女性の服用は禁忌!
- フィナステリドを服用している間は献血ができない
- 前立腺がん検診を受ける際は服用していることを申告する
以下でそれぞれ簡単に説明します。
効果が現れるまでは半年程度かかる
フィナステリドは即効性が期待できる薬ではありません。
個人差がありますが、効果を実感できるまでに約半年かかるといわれています。
効果が現れるまでに時間がかかる理由は、ヘアサイクルの退行期と休止期にある髪の毛が抜け落ちて、生え変わり成長するまでに時間がかかるためです。
AGAを発症すると、ヘアサイクルの成長期の期間が短くなります。
フィナステリドは短くなった成長期を正常な期間に戻す効果が期待できますが、退行期や休止期にある髪の毛を成長させる効果はありません。
これらの期間にある髪の毛が太く成長するためには、一度抜け落ちて生え変わり成長期の髪の毛になる必要があります。
その期間が約半年かかるため、フィナステリドの効果が実感できるようになるには時間がかかるのです。
女性の服用は禁忌!
フィナステリドは胎児に及ぼす影響を考えて妊婦もしくは妊娠する可能性がある女性、授乳婦には禁忌となっています。
男性胎児の生殖器官の発達には、男性ホルモンが関係しているからです。
DHT生成を抑制する効果があるため、胎児の生殖器の発育に異常を引き起こす可能性があるのです。
また女性の薄毛に対しては、フィナステリドの有効性は確認されていません。
フィナステリドが女性の薄毛に対して効果がないことは、臨床試験によっても明らかとなっています。
女性型脱毛症に関しては、フィナステリド(1mg/日)を用いた。137名の女性被験者を対象とした観察期間1年のランダム化比較試験において1㎠あたりの硬毛数はフィナステリド投与群で-8.7、プラセボ群で-6.6といずれも減少し、フィナステリド投与とプラセボ群の間で有意差はなかった。
以上のことから、女性は服用しないようにしましょう。
フィナステリドを服用している間は献血ができない
フィナステリドが胎児に与える悪影響の可能性を考えて、フィナステリド服用者は献血することはできません。
また、服用者だけではなく、服用をやめてから1ヶ月以内の人も献血できない規定となっています。
服用をやめて1ヶ月経っていない場合、体内にはまだ悪影響を及ぼす可能性がある量のフィナステリド成分が残っている可能性があるからです。
前立腺がん検診を受ける際は服用していることを申告する
フィナステリドは、前立腺がん検査で測定するPSA値を約50%低下させることが知られています。
そのため、前立腺がん検診を受ける際は、フィナステリドを服用していることを申告しないと正しい結果が得られなくなってしまうのです。
PASとは前立腺に特異的なたんぱく質のひとつで、前立腺がんになると血液中に流れ出します。
そのため、血液中のPSA値が高いと前立腺がんである確率が高くなるわけです。
AGA治療薬に使われているその他の成分との違いは?
フィナステリド以外にも、AGAの治療薬には以下の2つがあります。
- デュタステリド
- ミノキシジル
以下でこれらの成分とフィナステリドの違いを説明します。
デュタステリド
フィナステリドもデュタステリドも5αリダクターゼの働きを阻害して、AGAの進行を抑制するということでは違いがありません。
しかし、デュタステリドのほうが「脱毛予防効果が高い」といわれることもあります。
5αリダクターゼに対する働き方に違いがあるからです。
5αリダクターゼには「Ⅰ型」と「Ⅱ型」の2種類があります。
フィナステリドは5αリダクターゼのⅡ型の働きだけを阻害するのに対して、デュタステリドはⅠ型とⅡ型両方の働きを阻害します。
そのため、「フィナステリドよりもデュタステリドのほうが脱毛予防効果が高い」と考えられているのです。
もっとも、AGAを引き起こす可能性が高いのは「I型」ではなく「II型」です。
したがって、AGA治療では多くの場合、フィナステリドがメインで使われます。
ミノキシジル
ミノキシジルはともにAGAの治療薬として使われていますが、効果が異なります。
フィナステリドが5αリダクターゼⅡ型の働きを阻害することで抜け毛予防効果が期待できるのに対して、ミノキシジルは血管拡張作用によって発毛効果が期待できる成分です。
効果が実感できるまでの期間は、フィナステリドもミノキシジルも大きな差はありません。
早い方で3ヶ月、一般的には半年かかるといわれています。
フィナステリドと併用するとより高いAGA改善効果が得られると考えられており、両方おこなうのが標準的な治療です。
フィナステリドが診断してもらわないと処方されない一方、ミノキシジルは通販やドラッグストアで購入できます。
1本あたり3,000円のミノキシジル発毛剤はこちらで紹介しています。
フィナステリドに関してよくあるQ&A
最後に、フィナステリドに関してよくある6つの質問にお答えします。
- Q.副作用を感じたらどうしたら良い?
- Q.ジェネリック医薬品は効果が薄い?
- Q.通販サイトで治療薬を購入しても大丈夫?
- Q.フィナステリドを服用すると筋肉がつきにくくなる?
- Q.プロペシアは子づくりには悪影響が出る?
- Q.他の薬との飲み合わせに注意はある?
フィナステリドを服用する前に読んでおきましょう。
副作用を感じたらどうしたら良い?
フィナステリドは安全性の高い薬ですが、ごく稀に副作用が現れることがあります。
少しでも異常を感じたらすぐに服用をやめて、医師に相談してください。
そのまま服用を続けると、症状が重くなったり他の副作用が現れたりする恐れもあるでしょう。
医師に相談しないで減薬や違う治療薬を使うことはおすすめできません。
安心して治療を続けるためにも、まず医師に相談するようにしましょう。
ジェネリック医薬品は効果が薄い?
ジェネリック医薬品は価格が安いため「効果が薄い」と考える方がいますが、違いはありません。
新薬と品質や効果、安全性が同じ程度であると厚生労働省が承認しているからです。
ジェネリック医薬品の価格が安い理由は開発コストにあります。
新薬の開発には莫大なコストがかかり、回収するために価格を高く設定せざるをえません。
一方、ジェネリック医薬品は開発コストが抑えられているため、新薬よりも価格を低く設定して販売できるのです。
通販サイトで治療薬を購入しても大丈夫?
フィナステリドを個人輸入代行サイトで購入するのはおすすめできません。
非常にリスクが高いからです。
フィナステリドは、可能性は低いですが重大な副作用を発症する可能性がある薬です。
個人輸入代行サイトを利用して手に入れた薬で副作用が現れても、医薬品副作用被害救済制度が適用されません。
治療費は全額個人で負担する必要があります。
処方されたフィナステリドで副作用が現れたときは医師に相談できますが、個人輸入代行サイトだと相談できる相手がいません。
それどころか個人輸入代行サイトを利用した後ろめたさから病院に行かず放っておいて、深刻な状態になってしまう危険性もあります。
品質の点でも問題があります。
個人輸入代行サイトで購入した薬が、本物のフィナステリドとは保証されていません。
小麦粉を固めたものである可能性もありますし、体に有害なものが含まれている可能性もあります。
安心して服用するために、クリニックで処方してもらったものを服用するようにしましょう。
フィナステリドを服用すると筋肉がつきにくくなる?
フィナステリドを服用しても筋肉のつきやすさに影響はありません。
テストステロンが筋肉の成長に必要なホルモンであるため、そのように考える方がいるようです。
しかし、フィナステリドが生成を抑制するのはテストステロンではなくDHTです。
そのためフィナステリドを服用しても筋肉がつきにくくなるということはないと言えるでしょう。
フィナステリドは子づくりには悪影響が出る?
フィナステリドを服用している男性が子づくりをしても影響はないと考えられています。
ただ、安全性を考慮して、服用をやめて半年経ってから子づくりをすることをおすすめします。
フィナステリドが妊婦や妊娠する可能性がある女性に禁忌であることから、男性が服用していても悪影響が出ると考えている方もいるようです。
しかし、フィナステリドの成分が精液に移行する量はごくわずかで、妊婦や胎児に悪い影響を及ぼすことはないと考えられています。
気になる方は、フィナステリドの服用をやめてから半年たってから子づくりを始めることをおすすめします。
他の薬との飲み合わせに注意はある?
フィナステリドには、基本的に併用禁忌の薬はありません。
しかし、併用するときに注意した方がよい薬があります。
マクロライド系抗生物質やプロテアーゼ阻害剤、カルシウム拮抗剤などのCYP3A4阻害剤です。
フィナステリドは肝臓に存在しているCYP3A4という酵素によって代謝され排出されています。
そのため、CYP3A4阻害剤を服用していると、フィナステリドが効きすぎたり、効かなくなってしまったりする可能性があります。
フィナステリドとCYP3A4阻害剤は併用できないわけではないのですが、上記の理由から、事前に医師に相談することをおすすめします。
まとめ
フィナステリドについてまとめます。
- フィナステリドは5αリダクターゼⅡ型の働きを阻害することでAGA進行を抑制する効果 がある
- 副作用の発症頻度は低いが、男性機能の低下や肝機能障害、抑うつ症状、初期脱毛、ポストフィナステリドシンドロームが現れたという報告がある
- 即効性はなく効果が実感できるまでに約半年かかる
- 妊婦や妊娠する可能性がある女性、授乳婦は禁忌
フィナステリドは長い間AGA治療に使われていて実績のある薬です。
薄毛で悩んでいる方は、出来るだけ早くクリニックに行き治療を始めましょう。