女性に多いびまん性脱毛症とは?症状や原因、対策と治療法
「昔に比べて髪全体のボリュームが少なくなった」
「お風呂や起床時のブラッシングでの抜け毛がひどい」
このような症状にお悩みなら、「びまん性脱毛症」を疑いましょう。
びまん性脱毛症はさまざまな要因によって引き起こされる薄毛の症状で、主に女性に見られます。
この記事ではびまん性脱毛症の症状や原因、対策や治療法について解説します。
- びまん性脱毛症の症状や特徴
- 具体的な発症の原因
- 自宅でできるびまん性脱毛症の対策方法
- びまん性脱毛症の治療方法
びまん性脱毛症の原因や対策がわかり、科学的根拠に基づいた治療方法を知ることができるので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の監修者
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北海道大学大学院卒業
薬局薬剤師としてAGAや壮年期脱毛症、円形脱毛症の医薬品調剤や服薬相談を多数経験
薄毛の悩みを解決できる医学薬学知識を啓蒙することで、患者さんのより良い人生に貢献したい
と思っております。
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びまん性脱毛症の症状と特徴
まずはびまん性脱毛症の症状や特徴を確認しましょう。
びまん性脱毛症は早期発見・早期治療が大事です。
びまん性脱毛症の症状
びまん性脱毛症を発症すると、次のような症状が現れます。
- 分け目が広がってきた
- 地肌が透けて見えるようになってきた
- 髪が細くなった
- 抜け毛が多くなった
- 髪全体のボリュームが減った
- ヘアスタイルが決まらない
これらの症状に気付いたら、直ちに原因や改善の方法を確認しましょう。
放っておくと症状が進行してしまう可能性もあるからです。
症状が進むことで地肌が透けたり、分け目が広がったりしてしまいます。
髪の毛が細くなるだけでなく、抜け毛によって少しずつ髪の本数が減ってしまうのです。
洗髪時やドライヤーの使用時には、抜け毛の多さが目立つようになります。
また、以前よりも髪が細くなり、コシもなくなってきます。
髪全体のボリュームが減り、ヘアスタイルが思うように決まらなくなる恐れもあるので気をつけてください。
びまん性脱毛症の特徴
「びまん性脱毛症」は「FPHL(Female Pattern Hair Loss)」とも呼ばれる脱毛症です。
「びまん」とは、特定の一カ所だけでなく広範囲に広がっていることを意味します。
AGA(男性型脱毛症)のように生え際や頭頂部が薄くなっていくのとは違い、全体的に髪が抜けていくのがびまん性脱毛症の大きな特徴です。
AGAは男性ホルモンが原因とされていますが、びまん性脱毛症の原因は詳しくわかっていません。
また、少しずつ髪のボリュームが失われていくため、症状に気付きにくいのも特徴と言えます。
そのため、「気付いたら以前より髪が薄くなっていた」ということもあるでしょう。
女性に多く見られますが、まれに男性にも同様の症状が現れることがあります。
びまん性脱毛症が発症する原因
びまん性脱毛症の発症には、主に3つの原因があると言われています。
- 1.ホルモンバランスの乱れ
- 2.過度なストレス
- 3.頭皮や髪への負担
詳しく説明します。
1.ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスの乱れは、びまん性脱毛症を発症する原因の一つとされています。
「AGAガイドライン」においても「女性ホルモンが減って男性ホルモンが優位になると発症しやすくなる」と解説されています。
歳を重ねるごとに女性ホルモンの分泌量は減少していきます。その場合には男性ホルモンが優位になり、「女性型脱毛症(FPHL)」になりやすくなるのです。
ただし、なぜ「男性ホルモンが優位になるとびまん性脱毛症になりやすくなるのか」は詳しくわかっていません。
2.過度なストレス
過度なストレスがかかると、自律神経に悪影響を及ぼすことがあります。
自律神経に悪影響が及ぶと血管の収縮などが起こり、母細胞や毛乳頭部分に刺激を与えてしまうのです。
その結果、栄養が十分に行き渡らずに発毛能力の低下を招くことになります。
3.頭皮や髪への負担
頭皮のトラブルは脱毛の大きな原因となります。
たとえば、こういった行為は髪に負担を与えてしまうので気をつけてください。
- 過度なパーマやヘアカラーをする
- 一日に何度も洗髪をする
- 洗浄力の強いシャンプーを使用している
- 洗髪後に髪をドライヤーで乾かさない
これらはびまん性脱毛症の確実な原因とは言えません。
ただ、頭皮にダメージが与えられると髪が抜けやすくなるのは事実です。
【セルフケア】びまん性脱毛症の対策
びまん性脱毛症は科学的根拠に基づいた治療をはじめるのが大事です。
ただ、以下の方法で症状を改善できる可能性もあります。
- 1.ホルモンバランスを整える
- 2.生活習慣を改善する
- 3.ヘアケア用品を見直す
詳しく説明します。
1.ホルモンバランスを整える
ホルモンバランスを整えるには、減少しているエストロゲンの補充が大事です。
エストロゲンを活性化させる方法としておすすめなのが「イソフラボンの摂取」です。
大豆製品に含まれる「大豆イソフラボン」は「植物エストロゲン」とも言われ、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをします。
納豆や豆腐、豆乳などは手軽に手に入る大豆製品であるため、積極的に食事に取り入れてみてください。
2.生活習慣を改善する
びまん性脱毛症は、生活習慣を見直すことで症状を改善できる可能性があります。
特に以下のポイントは大切なことなので、できるだけ実践してみてください。
- 良質な睡眠を取る
- ストレスを溜め込まない生活を送る
- ストレッチやウォーキングなどの軽い運動を取り入れる
- 栄養バランスの取れた食事を心がける
良質な睡眠は、髪の成長や頭皮の健康を保つ成長ホルモンの分泌を促します。
また、ストレスはホルモンバランスを崩す元凶ともなるため、ストレッチやウォーキングなどで解消に努めましょう。
栄養バランスの取れた食事を取ることも心がけてください。
びまん性脱毛症を改善するだけでなく、健康的な生活を送るうえでも重要です。
3.ヘアケア用品を見直す
びまん性脱毛症を体の外側からセルフケアすることも、大切な対策方法です。
とくにヘアケア用品を見直すことは、良好な頭皮環境を整えるうえでも大事です。
まずは、シャンプーを見直し、頭皮への刺激が少ないシャンプーに替えてみましょう。
また、女性用育毛剤を使ってみても構いません。
育毛剤には発毛効果のある成分は含まれていませんが、頭皮環境を改善してくれる可能性があります。
びまん性脱毛症の治療方法
びまん性脱毛症に気づいたら、早めに治療をはじめるのが大事です。
治療方法は主に2つです。
- 薬を服用する
- 注入治療を受ける
詳しく説明します。
薬を服用する
「AGAガイドライン」において推奨されているのは「1%ミノキシジルの外用」です。
ミノキシジルは国内で唯一、発毛効果が認められています。
まずは1%ミノキシジルの外用からはじめましょう。
びまん性脱毛症をクリニックで治療する方法として「パントガールの服用」もあります。
パントガールはドイツで開発された内服薬で、びまん性脱毛症の改善が期待できます。
ただし、パントガールは国内において治療薬として承認されていません。
服用は自己責任になってしまうので注意してください。
詳しくは下の記事でまとめています。
注入治療を受ける
びまん性脱毛症の治療には、ミノキシジルや成長因子を頭皮に直接注入する「メソセラピー」という方法もあります。
高い発毛効果を期待できますが、安全性や有用性は詳しくわかっていません。
まずはミノキシジルの外用をおこない、半年経っても効果が出ない場合に検討しましょう。
ただし、認められているのは「1%ミノキシジルの外用」だけです。
男性用のミノキシジル発毛剤は主に「5%」であり、女性は使用できません。
びまん性脱毛症に関するよくある質問
最後に、びまん性脱毛症に関するよくある質問について回答します。
ここで答える質問は以下の4点です。
- びまん性脱毛症ってどういう症状なの?
- びまん性脱毛症になってしまう原因は?
- びまん性脱毛症の対処法を知りたい
- びまん性脱毛症の治療法には何があるの?
詳しく解説します。
びまん性脱毛症ってどういう症状なの?
びまん性脱毛症が発症した場合、以下のような症状が現れます。
- 分け目が広がってきた
- 地肌が透けて見えるようになってきた
- 髪が細くなった
- 抜け毛が多くなった
- 髪全体のボリュームが減った
- ヘアスタイルが決まらない
このように、髪の毛が細くなったり抜け毛の数が増えていったりしてしまうのです。
びまん性脱毛症になってしまう原因は?
びまん性脱毛症になってしまう原因としては、以下の3つの原因が考えられます。
- 1.ホルモンバランスの乱れ
- 2.過度なストレス
- 3.頭皮や髪への負担
こういった原因に心当たりがある方は気をつけましょう。
びまん性脱毛症の対処法を知りたい
びまん性脱毛症になってしまった場合、以下のような対策を行うことで症状が改善する可能性があります。
- 1.ホルモンバランスを整える
- 2.生活習慣を改善する
- 3.ヘアケア用品を見直す
自分にできる範囲で少しずつケアしていきましょう。
びまん性脱毛症の治療法には何があるの?
どうしてもびまん性脱毛症が改善しないという場合は、クリニックを受診して治療を受けましょう。
クリニックでは以下のような治療が行われます。
- 薬を服用する
- 注入治療を受ける
まとめ
びまん性脱毛症の症状や原因と対策方法をまとめます。
- びまん性脱毛症は、女性に多い頭髪全体が薄くなる症状
- 主な原因はわかっていないが、ホルモンバランスの乱れが有力視されている
- 症状の改善にはセルフケアも大事
- セルフケアだけでは治療できないため、クリニックでの治療がおすすめ
びまん性脱毛症は、女性ホルモンの減少により発症する場合が多いです。
自分の力で治そうとするのではなく、早めにクリニックを受診しましょう。