脂漏性脱毛症とは?特徴や原因、AGAとの違いと対処法
脂漏性脱毛症とは脱毛症の一種で、頭皮環境の悪化によって起こります。
いわゆる「AGA」と違って改善する見込みが高いので安心してください。
しかし、科学的根拠に基づいた方法で治療しないと、治らないどころか悪化する恐れもあります。
そこで、本記事では以下の点を詳しく解説します。
- 脂漏性脱毛症とは?原因やなりやすい人の特徴
- 脂漏性脱毛症とAGAの違い
- 脂漏性脱毛症の3つの症状
- 脂漏性脱毛症の3つの対策と治療法
脂漏性脱毛症に関する正しい情報が手に入り、「具体的にどうすれば改善できるか」がわかるので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の監修者
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北海道大学大学院卒業
薬局薬剤師としてAGAや壮年期脱毛症、円形脱毛症の医薬品調剤や服薬相談を多数経験
薄毛の悩みを解決できる医学薬学知識を啓蒙することで、患者さんのより良い人生に貢献したい
と思っております。
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脂漏性脱毛症とは
まず、「脂漏性脱毛症とはなにか」について解説します.
ここで解説するのは以下の2点です。
- 脂漏性脱毛症の原因
- 脂漏性脱毛症になりやすい人の特徴
脂漏性脱毛症の原因
脂漏性脱毛症の原因は主に脂漏性皮膚炎です。
脂漏性皮膚炎とは、頭皮や顔など「皮脂腺の密度が高い部位」に生じる皮膚の炎症です。
脂漏性皮膚炎が起こる原因は解明されていません。
ただ、もっとも有力視されているのは「マラセチア」と呼ばれる皮膚の常在菌です。
とはいえ、「マラセチアがどのように関係しているのか」はわかっていません。
脂漏性皮膚炎の発生機序は明らかにされていないが,その活動性には,皮膚に存在する酵母であるMalassezia属真菌の数との関連が認められる。
出典:MSDマニュアル
マラセチアは人間の「脂質」を栄養源にしています。
したがって、油脂などが過剰分泌された結果、マラセチアが異常繁殖し、脂漏性皮膚炎を引き起こすとも考えられています。
マラセチア属真菌はヒトや動物の毛包の開口部周囲に常在している真菌で、脂質を栄養源として利用している唯一の真菌です。
出典:マラセチア関連疾患
マラセチアに関しては、下の記事を参考にしてください。
脂漏性脱毛症になりやすい人の特徴
以下の特徴に当てはまる場合、「脂漏性脱毛症になりやすい」といえます。
- 普段から脂質の高い食べ物を好む人
- 肌トラブルに見舞われやすい人
- 不規則な生活を送っている人
- 誤った方法で髪を洗っている人
マラセチアは脂質が栄養源なので、いわゆる「脂っこいもの」が好きな方は脂漏性脱毛症になりやすい傾向にあります。
敏感肌など肌が弱かったり自分に合っていないシャンプーを使っていたりする場合も気をつけてください。
これらの改善方法は記事の後半で詳しく解説します。
脂漏性脱毛症とAGAの違い
大事なのが薄毛の原因が「脂漏性脱毛症なのか」「AGAなのか」をはっきりさせることです。
なぜなら、脂漏性脱毛症とAGAでは原因などが大きく異なるからです。
詳しくは下をご覧ください。
脂漏性脱毛症 | AGA | |
原因 | 脂漏性皮膚炎 | DHT(ジヒドロテストステロン)と呼ばれる男性ホルモン |
症状 | 一時的に抜け毛が増える
抜け毛がベタベタしている |
抜け毛が細く弱々しい
生え際から徐々に後退する |
治療方法 | ミコナゾール配合のシャンプー
頭皮の保湿 ステロイド剤など |
フィナステリド・デュタステリドの内服
ミノキシジルの外用 |
たとえば、AGAではないのにフィナステリド・デュタステリドを使うのはリスクがあります。
次で「脂漏性脱毛症の主な症状」を紹介するので、自分に当てはまるかどうか確認しましょう。
「脂漏性脱毛症の主な症状」に当てはまらなかった場合、AGAの可能性があります。
AGAに関しては、下の記事をご覧ください。
脂漏性脱毛症の主な症状
脂漏性脱毛症の症状は「脂漏性皮膚炎が進行して抜け毛が増えること」です。
ここでは脂漏性脱毛症の原因となる脂漏性皮膚炎の症状を4つ紹介します。
- 頭皮のベタつき
- 黄色っぽいフケ
- 赤み・かゆみ
- ニキビ・湿疹
頭皮にこのような異常が見られたら、脂漏性皮膚炎を疑いましょう。
頭皮のベタつき
頭皮のベタつきを感じたら、脂漏性皮膚炎から脂漏性脱毛症になる恐れがあります。
頭皮の皮脂が過剰分泌している可能性があるからです。
汗と違って、髪を洗ったあともベタベタしている場合、「頭皮に異常が起きている」と考えてください。
詳しくは下の記事でまとめています。
黄色っぽいフケ
フケ自体は悪いものではありません。
頭皮がターンオーバーする際に排出される「垢」のようなものだからです。
ただ、大量発生したり黄色っぽいフケが出たりする場合は注意してください。
下の記事でフケに関して詳しく解説しています。
赤み・かゆみ
赤み・かゆみが見られた場合も、脂漏性皮膚炎を疑いましょう。
頭皮は本来青白い色をしているため、赤くなっている場合、何かしらの異常が発生している可能性が高いです。
頭皮の色に関しては、下の記事でまとめています。
「頭皮がかゆい」と感じる方は、下の記事をご覧ください。
ニキビ・湿疹
症状が進行すると、ニキビのようなものができる恐れもあります。
ひどいとフケやはがれた皮膚、浸出液が固まって、かさぶたのようなもので患部が覆われることもあります。
出典:田辺三菱製薬
頭皮にできたかさぶたははがしてはいけません。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
脂漏性脱毛症の対策と治療法
ここからは脂漏性脱毛症の対策と治療法を紹介します。
主な治療方法は以下の3つです。
- 生活習慣を改善する
- ステロイド剤を使用する
- 早めに専門医に相談する
それぞれ解説します。
生活習慣を改善する
まずは生活習慣を改善してください。
すぐにでもできることは以下のとおりです。
- 定期的なストレス発散
- 運動不足の解消
- 睡眠時間の確保
- バランスの取れた食生活
- ミコナゾール配合のシャンプー
特に大事なのが「ミコナゾール配合のシャンプー」です。
ミコナゾールは抗真菌作用のある成分で、マラセチアの繁殖を防ぎます。
下の記事でおすすめのシャンプーを紹介しています。
ステロイド剤を使用する
ミコナゾールは抗真菌作用はあるものの、殺真菌作用はありません。
シャンプーを変えても改善しない場合で、原因が真菌ではない場合、ステロイド剤を使用してください。
脂漏性皮膚炎は、患部に炎症が起きている状態です。皮膚科では、一般的にステロイド外用剤を使って炎症を抑える治療を行います。
出典:田辺三菱製薬
ステロイド剤はドラッグストアでも購入できます。
早めに専門医に相談する
市販のステロイド剤を使用しても改善しない場合、早めに専門医に相談しましょう。
より強いステロイド剤を処方してもらえる可能性があります。
それでも改善しない場合、抜け毛の原因が「脂漏性脱毛症ではない」と考えられます。
AGAによる症状の場合、ステロイド剤は効果がありません。
まずはAGAクリニックを受診するのが大事です。
おすすめのAGAクリニックは下の記事で紹介しています。
まとめ
「脂漏性脱毛症とはなにか」についてまとめます。
- 脂漏性脱毛症とは脂漏性皮膚炎によって引き起こされる脱毛症
- 脂漏性皮膚炎の原因はわかっていない
- ただ、頭皮環境が悪化しマラセチアが異常繁殖していることが挙げられる
- ミコナゾール配合のシャンプーを使い、原因が真菌ではない場合はステロイド剤を試してみる
- それでも改善しない場合、AGAの可能性が高い
AGAは脂漏性脱毛症と違って、放置すると症状が悪化し最終的にほとんどの髪が抜けてしまいます。
AGA治療の方法として、科学的根拠に基づいてもっとも推奨されているのが「ミノキシジルの外用」です。
国内で唯一発毛効果が認められた「ミノキシジル」の発毛剤はこちらで紹介しています。