【薬剤師監修】薄毛(はげ)と遺伝は関係ある?薄毛のメカニズムや原因を解説
「ハゲって遺伝するのだろうか」ということは一度は考えると思います。
特に身近な父親がハゲていれば「自分もいつかそうなってしまう?」と不安に思う方も少なくありません。
そこで、本記事では科学的根拠に基づいてハゲと遺伝の関係性を明らかにします。
- ハゲと遺伝の関係性
- AGAのメカニズム
- AGAの治療方法
記事を最後まで読むことでハゲの遺伝メカニズムがわかり、「これからどうすればいいのか」という具体的な解決策を見つけられます。
この記事の監修者
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北海道大学大学院卒業
薬局薬剤師としてAGAや壮年期脱毛症、円形脱毛症の医薬品調剤や服薬相談を多数経験
薄毛の悩みを解決できる医学薬学知識を啓蒙することで、患者さんのより良い人生に貢献したい
と思っております。
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薄毛=AGAである
「薄毛=AGAである」といっても過言ではありません。
老化による薄毛を除けば、薄毛の原因は「AGA」がもっともメジャーだからです。
実際に、日本人男性の多くがAGAを発症しています。
25 年前の本邦における男性型脱毛症の統計から,日本人男性の発症頻度は全年齢平均で約 30%と報告されている.この発症頻度は現在もほぼ同程度であり,20 代で約 10%,30 代で 20%,40 代で 30%,50代以降で 40 数%と年齢とともに高くなる.
脱毛症には、AGA以外にも次のような種類があります。
- 円形脱毛症
- 脂漏性脱毛症
- 薬剤性脱毛症など
しかし、これらは割合としてはAGAほど多くありません。
たとえば、円形脱毛症の割合はAGAより極めて低いのです。
円形脱毛症の頻度は人口の1~2%と推測され、この頻度は日本のどこでも、また米国でも同じで、社会情勢が変わっても変わりません。
出典:日本皮膚科学会
以上で示したとおり、男性はまずAGAにならないよう対策するのが大事です。
AGAのメカニズム
次に、AGAのメカニズムについて説明します。
AGAはDHT(ジヒドロテストステロン)と呼ばれる男性ホルモンがアンドロゲンレセプターと結びつき、脱毛因子や脱毛タンパクを放出することで発生します。
DHTを生み出すのが「5αリダクターゼ」という酵素です。
5αリダクターゼは男性ホルモンであるテストステロンをDHTに変えてしまうのです。
男性ホルモン感受性毛包の毛乳頭細胞には男性ホルモン受容体が存在するが,髭や前頭部,頭頂部の毛乳頭細胞に運ばれたテストステロンは II 型 5α―還元酵素の働きにより,さらに活性が高いジヒドロテストステロン(DHT)に変換されて受容体に結合する.
こういった流れで発症するため、DHTは「悪玉ホルモン」と呼ばれることも少なくありません。
DHTから放出された脱毛因子や脱毛タンパクは、毛母細胞にダメージを与えます。
そうするとヘアサイクルが乱れ、どんどん薄毛が進行していくわけですね。
最終的に毛母細胞が死滅し、多くの髪が失われてしまいます。
毛母細胞は死滅すると、AGA治療をしても髪の毛が生えることはありません。
だからこそ、AGAは発症したら進行を食い止める対策が大事なのです。
薄毛と遺伝の関係性
AGAは遺伝との関係性が数多くの研究が行われています。
男性型脱毛症の発症には遺伝と男性ホルモンが関与するが,遺伝的背景としては X 染色体上に存在する男性ホルモンレセプター遺伝子の多型や常染色体の 17q21 や20p11 に疾患関連遺伝子の存在が知られている.
詳しく説明すると、DHTと結びつくアンドロゲンレセプターへの反応しやすさは人によって異なります。
反応感度が強ければ強いほど、AGAを発症しやすくなるわけですね。
アンドロゲンレセプターの遺伝子はX染色体上にあります。
つまり、母方の父が「強い感度のアンドロゲンレセプター遺伝子」を持っている場合、母親を通して受け継がれている可能性が高いのです。
アンドロゲンレセプターの感度は、遺伝子キットを用いて「感度の強さ」を測定することができます。
検査キットは、通販でも購入可能ですが、より詳しい説明を受けて適切な対策をするためにも
「将来、AGAになるかもしれない」と悩む前に、まずはAGAクリニックを受診してみましょう。
薄毛には遺伝以外の原因はある?
科学的根拠がはっきりしている原因は「DHT」と「遺伝」だけです。
次のような情報はすべて科学的根拠がないので惑わされないようにしましょう。
- ストレスを溜めすぎるとハゲる
- 生活習慣が悪いとハゲる
- 食生活が偏っているとハゲる
- 髪の洗い方が良くないとハゲる
つまり、どんなに髪の毛にいい生活習慣であって、ストレスがない生活をしていても
「AGAになる人はなってしまう」ということになります。
一方で、AGAではない「一時的な抜け毛」であれば、生活習慣はおおいに関係します。
以下に簡単に説明します。
ストレスを溜めすぎるとハゲる?
ストレスを溜めすぎると自律神経やホルモンバランスが乱れ、一時的に抜け毛が増える恐れがあります。
定期的にストレスの発散を心がけるのが大事です。
生活習慣が悪いとハゲる?
睡眠不足も一時的な抜け毛増加の一因です。
成長ホルモンは睡眠時に分泌されるため、妨げにならないよう睡眠時間を確保しましょう!
食生活が偏っているとハゲる?
以下の栄養素が不十分だと、髪の毛の成分が足りなくなり成長に支障がでる可能性があります。
- タンパク質
- ビタミンB
- 亜鉛
日頃からこれらを意識的に摂取してください。
髪の洗い方が良くないとハゲる?
すすぎ残しや力が強すぎた場合、毛根が詰まったり傷ついたりして一時的にハゲることがあります。
自分に合ったシャンプーでやさしく洗い、すすぎ残しがないよう念入りに流しましょう。
薄毛の治療法
薄毛の治療方法として、「AGAガイドライン」においてもっとも推奨されているのが以下の3つです。
- フィナステリドの内服
- デュタステリドの内服
- ミノキシジルの外用
それぞれ解説します。
フィナステリドの内服
フィナステリドは5αリダクターゼのはたらきを阻害する効果があります。
日本国内では「プロペシア」として販売されています。
高い効果が期待できる一方、医師の診断を受けないと処方してもらえません。
以下の記事でフィナステリドが安い順にAGAクリニックを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
デュタステリドの内服
デュタステリド(商品名:ザガーロ)もフィナステリドと同じ効果があります。
違う点は「作用する5αリダクターゼの種類」です。
フィナステリドはII型の5αリダクターゼにしか作用しませんが、デュタステリドはI型にも効果があるのです。
だからといって、デュタステリドのほうが優れているわけではありません。
DHTを生み出すとされているのはII型の5αリダクターゼだからです。
詳しくは下の記事をご覧ください。
ミノキシジルの外用
ミノキシジルは国内で唯一発毛効果が認められている成分です。
フィナステリド・デュタステリドと違って薬局や通販で購入できます。
ただ、ミノキシジル発毛剤はほとんどが「5%配合」なので、どれを選んでも基本的に効果は変わりません。
5%を超える濃度は認められていないのです。
だからこそ、値段で選ぶのがおすすめです。
国内最大濃度かつ1本あたり3,000円のミノキシジル発毛剤はこちらをご覧ください。
薄毛は予防できるの?
予防は非常に困難です。
なぜなら、5αリダクターゼや男性ホルモンの産出を防ぐ術はないからです。
たとえば、テストステロンを減少させられればDHTは生まれません。
しかし、テストステロンは男性が健康に生きるために必須であり、欠乏すると次のような悪影響を及ぼしかねないのです。
- 高次脳機能の低下
- 性欲の低下
- 筋肉、骨などの衰えなど
ED治療をおこなうライフクリニックでも、次のように述べられています。
男性ホルモン分泌量が、 身体の男性ホルモンの需要量を下回り始めると、 テストステロン欠乏症候群:TDSが出現し始め、様々な症状を示すようになります。 代表的にはED/勃起不全などの性機能の低下が有りますが、 認知機能や筋肉の維持など多種多様な生理に男性ホルモンが関連している関係上、 性機能以外にもTDSは多彩な症状を示します。
出典:ライフクリニック
さらに、「低テストステロンで血管疾患のリスクが5倍になる」という報告※もあるほどです。
※参考:m3.com
しかし、毛根への男性ホルモン攻撃を抑えて治療する方法があるのであきらめるべきではありません。
攻撃しはじめてから対策するまでの期間は短いほど効果が早いです。
だからこそ!
薄毛を予防したいなら、早期発見・早期治療がもっとも大事なんです!!
まとめ
ハゲの遺伝メカニズムについてまとめます。
- 老化を除けば薄毛=AGAといっても過言ではない
- AGAは日本人男性の約3人に1人が発症すると言われている
- AGAの原因はDHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモン
- 加えて、遺伝の要因もある
- AGAの治療方法はフィナステリド・デュタステリドの内服、ミノキシジルの外用
上述したとおり、AGAは早めに自覚するのが重要です。
思い当たる節があったら いますぐ!AGA治療をはじめましょう!