【薬剤師監修】M字ハゲの治し方とは?原因や効果のある治療法を解説!
「前よりも左右の生え際が後退してM字型に見える」
「前髪の生え際が他の部分より細く弱い」
このようなことが気になる場合、俗に言う「M字ハゲ」の兆候である可能性があります。
薄毛は放っておいても自然に改善するものではありません。
そればかりか、U字型の薄毛に進行することもあるため、今のうちにしっかり対策しておきましょう。
本記事では、M字ハゲの原因や効果的な治し方について解説しています。
- M字ハゲの症状と原因
- 症状の治療や改善方法
- M字ハゲは治るのか
最後まで読み進めれば、具体的な「M字ハゲの治療法」がわかり、自分がまず何をすればいいのか知ることができます。
この記事の監修者
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北海道大学大学院卒業
薬局薬剤師としてAGAや壮年期脱毛症、円形脱毛症の医薬品調剤や服薬相談を多数経験
薄毛の悩みを解決できる医学薬学知識を啓蒙することで、患者さんのより良い人生に貢献したい
と思っております。
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M字ハゲとは
M字ハゲとは、生え際の真ん中に比べて左右が薄く後退して、M字型を形成している状態のことです。
正式な病名ではありませんが、薄毛症状の1つとして広く認知されています。
M字ハゲに明確な定義はありません。
ただ、現在の状態を自分自身で判断するための目安がいくつかあります。
今回はその中から2つ紹介します。
【ハミルトン・ノーウッド分類】
1.片耳の上部から頭頂部にまっすぐ線を引く
2.同じ側の後退している生え際の最終ラインと①との平行線の幅を測る
3.平行線の幅が2㎝以内であればM字ハゲの可能性がある
【指を使う確認方法】
1.目を見開く→額にシワがよる
2.できたシワの一番上に指を置く
3.生え際までの距離が指2~3本以上であれば、M字ハゲの可能性がある
手軽にできる確認方法なので、気になる人はチェックしてみてください。
ただ、あくまでも目安なので、判断は医師に任せるしかありません。
M字ハゲは年齢を重ねた男性だけでなく、女性や若者でも発症します。
詳しくは以下で解説しているので確認してください。
女性や若者でも発症する
M字ハゲは年齢を重ねた人だけでなく、若者でも発症する可能性があります。
とくに男性の脱毛症については「日本皮膚科学会」が以下のような報告をしているのです。
日本人男性の場合には 20 歳代後半から 30 歳代にかけて著明となり,徐々に進行して 40 歳代以後に完成される.25 年前の本邦における男性型脱毛症の統計から,日本人男性の発症頻度は全年齢平均で約 30%と.この発症頻度は現在もほぼ同程度であり,20 代で約 10%,30 代で 20%,40 代で 30%,50 代以降で 40 数%と年齢とともに高くなる
このデータでは、日本人男性の薄毛は20歳代後半から始まっていることを示しています。
したがって「若い男性でもM字ハゲに気付く人は少なからずいる」といえるでしょう。
また、女性でもさまざまな要因によってM字ハゲになることがあり、近年急増している症状の1つです。
女性や若い人だと「気のせいだろう」「生まれつきこんな感じだった」などと薄毛を受け入れることが難しい場合もあります。
たしかに、生まれつき前髪の生え際が富士山のようなM字型を形成している「富士額(ふじびたい)」の人もいます。
富士額は、M字ハゲではありません。
ただし、昔の写真などと比較して富士額の角度が鋭くなってきたら、M字ハゲの進行が疑われます。
M字ハゲの原因
薄毛の原因はさまざまです。
多くの場合、3つの原因が考えられます。
- AGA(男性型脱毛症)
- FAGA(女性男性型脱毛症)
- 牽引性(けんいんせい)脱毛症
以下では、この3つの原因について詳しく解説していきます。
大半がAGA
M字ハゲの原因の大半が「AGAやFAGAである」と言われています。
AGA(男性型脱毛症)は、男性ホルモンのDHT(ジヒドロテストステロン)が生成されることでヘアサイクルが乱れ、脱毛が進む症状です。
AGAはM字ハゲから進行するケースが多いのです。
詳しくは下の記事で症状や治療方法などを解説しています。
女性の場合はFAGAが原因の可能性も
FAGA(女性男性型脱毛症)は、詳しい原因がわかっていません。
主に加齢により女性ホルモンが減少し、相対的に男性ホルモンの割合が増えることで発症すると言われています。
症状は30歳から閉経前の更年期(40歳後半)にかけて出ることが多いですが、早いと20代でなってしまう人もいます。
AGAと違って生え際が後退するわけではありません。
ただ、全体的に髪が薄くなるため、場合によってはM字ハゲになることもあります。
詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
牽引性脱毛症の場合も
M字ハゲの原因には、ポニーテールなどの髪型による「牽引性(けんいんせい)脱毛症」も考えられます。
前髪を強く引っ張るヘアスタイルを毎日続けると、頭皮がダメージを受けて血行不良になってしまうのです。
その結果、髪が細くなる・抜け毛が多くなるなどのリスクが高まります。
また、男性の長髪やオールバックでも牽引性脱毛症になることがあります。
牽引性脱毛症によるM字ハゲは、頭皮に負担がかからない髪型にする、分け目を変えるなどで改善されることが多いです。
つまり、AGAによるM字ハゲと違って比較的簡単に改善できる可能性があるのです。
詳しくは下の記事をご覧ください。
M字ハゲの治療法
ここからは主に男性の治療方法について解説します。
まず、M字ハゲは早期での対策が何より重要です。
適切な治療で改善効果が見込めるからです。
M字ハゲの治し方は、主に3つあります。
- クリニックで治療を受ける
- 生活習慣を改善する
- 育毛剤や発毛剤の使用
この中から自分に合った治し方を選び、今すぐ実践してみることをおすすめします。
クリニックで治療を受ける
M字ハゲの原因にAGAが疑われる場合、クリニックで治療を受けるのがおすすめです。
セルフケアに頼るだけの対処法だと、思うような改善が期待できないからです。
クリニックで処方されているM字ハゲの治療薬には次のようなものがあります。
治療の目的 | 薬の種類 | 薬代相場(1か月) |
抜け毛予防 | プロペシア | 5,000円~8,000円 |
フィナステリド錠
(プロペシアのジェネリック) |
3,800円~6,000円 | |
ザガーロ | 8,000円~10,000円 | |
デュタステリド錠
(ザガーロのジェネリック) |
3,500円~7,000円 | |
発毛促進 | ミノキシジルタブレット | 8,000円~10,000円 |
ミノキシジル外用薬 | 10,000円~15,000円 |
※薬代相場は目安であり、クリニックにより大幅に異なる場合があります。
薬以外では、「メソセラピー」や「HARG療法」という薬を直接頭皮に注入する方法もあるのです。
数百万円の費用が必要な場合もありますが、「植毛」によって自毛を移植する方法もあります。
この中で、はじめにやるべきことは「ミノキシジルの外用」です。
ミノキシジルの外用はAGAガイドラインでもっとも推奨されているうえに、国内で唯一発毛効果が認められています。
国内最大濃度かつ1本3,000円で購入できるミノキシジル発毛剤はこちらで紹介しています。
生活習慣を改善する
根本的な治療にはなりませんが、生活習慣を改善するのも大事です。
おすすめの方法は主に4つあります。
- 十分な睡眠を取る
- ストレスを溜めない
- 栄養のバランスを考える
- 頭皮ケアを見直す
十分な睡眠時間を確保しないと、髪の成長に必要な成長ホルモンが分泌されません。
また、ストレスを溜めない生活も自律神経を整える上で重要です。
栄養のバランスを考えた食生活は、髪や頭皮の健康のためにも大切です。
普段の食事では、以下のような栄養素の摂取を心がけると良いでしょう。
髪に必要な栄養素 | 食品 | 主な効果 |
タンパク質 | 肉・魚・卵・納豆などの大豆製品 | 髪の毛の形成、ホルモンバランスを整える |
ビタミン | ナッツ・柑橘・玄米・緑黄色野菜 | 頭皮環境を良好に保ち血行を促進する |
亜鉛 | 牡蠣・牛肉・レバー・海藻類・貝類 | 髪の形成をサポート |
頭皮環境を整えるためには、間違った頭皮ケアを見直すことも大切です。
正しいシャンプー方法を意識する、髪をしっかり乾かすなどは頭皮ケアの基本です。
「シャンプー時に抜け毛が多い」
このように感じる方は、下の記事を参考にしてください。
育毛剤や発毛剤の使用
M字ハゲに対するセルフケアには育毛剤や発毛剤を使用する方法もあります。
ただ、育毛剤と発毛剤は似ているようで性質が異なる点に注意してください。
- 育毛剤:今生えている髪の健康を保ち抜け毛を予防する
- 発毛剤:新しく髪を生やして毛量を増やす
育毛剤は、今生えている髪の毛や頭皮の健康を維持するための環境を整え、将来的な抜け毛の防止を目的としています。
発毛剤の目的は、新しい髪の毛の発毛です。
主成分であるミノキシジルは発毛効果がある唯一の医薬品として、外用薬が厚生労働省から承認されています。
髪の毛の量を増やしてM字ハゲを改善したい、太くコシのある髪に成長させたい人には発毛剤がおすすめです。
M字ハゲに関するよくある質問
ここではM字ハゲに関する2つの質問に回答します。
- M字ハゲは治るの?
- M字ハゲの治療を途中で止めるとどうなる?
M字ハゲは治るの?
M字ハゲになる原因は人それぞれですが、そのほとんどがAGAであるため、完全に治ることはありません。
AGAは男性が健康的に生きていくうえで大事な「テストステロン」が原因だからです。
テストステロンを完全に排除してしまえば、AGAを発症することはありません。
しかし、完全に排除することは不可能ですし、排除できたとしても健康面に重大な悪影響が生じます。
完全に治すのではなく、治療を続けてM字ハゲと付き合っていくのが大事です。
人によっては加齢でM字ハゲが目立たなくなってから、治療を辞めるケースもあります。
男性ホルモンに関しては以下の記事をご覧ください。
男性ホルモンと薄毛との関係性は?髪の毛が抜ける原因と対策をチェック!
M字ハゲの治療を途中で止めるとどうなる?
治療を途中で止めてしまうと症状が悪化してしまいます。
AGAは進行性だからです。
M字ハゲは治療によってすべての原因を排除することが難しいため、症状の進行を食い止めることしかできません。
薄毛の進行を遅らせるには、なるべく長い期間治療することが理想的です。
ただ、「治療薬が合わない」「体に異変が出た」という場合、すぐに服用を止めましょう。
AGA治療薬は少なからず副作用が報告されています。
まとめ
M字ハゲの治し方、原因や治療法についてまとめます。
- M字ハゲとは前髪の左右が薄く後退してM字型を形成している薄毛の状態
- 放っておくと悪化する進行性の病気
- そのほとんどの原因がAGAによるもの
- M字ハゲは早期発見・早期治療するのがおすすめ
M字ハゲの原因の多くはAGAであるため、放っておけば悪化していきます。
そして、やがては頭頂部全体に薄毛が広がってしまうのです。
薄毛の進行を遅らせるには、治療をはじめる必要があります。
まずはミノキシジルの外用薬を使って、半年間様子を見てみましょう。