薄毛の原因はヘアーサイクルの乱れから?詳しくご紹介!
薄毛の原因を考えるうえで外せないのが「ヘアーサイクル」です。
毛髪の成長をつかさどるヘアーサイクルは、薄毛の進行と深く関係しているのです。
本記事ではヘアーサイクルの仕組みや乱れる原因、対処法などを詳しく見ていきます。
- ヘアーサイクルとはなにか
- ヘアーサイクルが乱れる2つの原因
- ヘアーサイクルを正常化させる2つの対策
記事を最後まで読むことでヘアーサイクルを正しく理解でき、薄毛対策に繋げられます。
この記事の監修者
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北海道大学大学院卒業
薬局薬剤師としてAGAや壮年期脱毛症、円形脱毛症の医薬品調剤や服薬相談を多数経験
薄毛の悩みを解決できる医学薬学知識を啓蒙することで、患者さんのより良い人生に貢献したい
と思っております。
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ヘアーサイクルとは
薄毛の原因を知るためには、「ヘアーサイクル」について理解をする必要があります。
そこで、まずはヘアーサイクルについて簡単に解説します。
髪が生えて抜けるまでの周期
ヘアーサイクルとは、毛髪が生えてから抜けるまでの周期のことです。
毛髪には1本1本に寿命があり、それぞれが成長期・退行期・休止期という3つの時期を繰り返しています。
一般的に、ヘアーサイクルの周期は男性が3〜5年、女性が4〜6年といわれています。
ヘアーサイクルは頭皮が正常であることを示すバロメーターのようなもので、乱れないようにするのが健康的な毛髪の維持にとって非常に大事です。
続いては、3つの時期をそれぞれ詳しく解説します。
毛髪が伸びる成長期
「成長期」とは毛母細胞の分裂が活発になり、毛髪が伸びる時期のことです。
成長期はさらに3つの段階に分類できます。
- 早期:毛母細胞が皮膚の下で活発に分裂する
- 中期:毛母細胞が産毛となって現れる
- 後期:産毛が成長し、太く長い毛髪へと育つ
一般的には、毛髪全体の85〜90%が成長期にあるとされています。
伸びる速度は個人差があるものの、1日0.3〜0.4mm、1年換算で15cmほどです。
後述しますがAGAになるとヘアーサイクルが乱れ、成長期が短くなり、毛髪が細くなったり成長の途中で抜けてしまったりします。
毛髪が抜けやすくなる退行期
「退行期」とは、毛母細胞の働きが低下して毛髪が抜けやすくなる時期のことです。
退行期に入ると、毛髪の根本にある毛乳頭細胞が毛母細胞から離れます。
すると、栄養の供給などが薄れるため、毛髪の成長が遅くなるのです。
その後、2〜3週間ほどかけて成長がストップします。
毛髪全体の1%ほどが退行期にあるとされており、この時期の毛髪はシャンプーやブラッシングで抜けやすいのが特徴です。
「シャンプーしたときの抜け毛が気になる…」という方は、下の記事をご覧ください。
毛髪が抜ける休止期
「休止期」とは細胞分裂が完全に停止して毛髪が抜ける時期のことです。
毛髪全体の10〜20%が休止期にあるとされており、この時期が2〜3ヵ月ほど続きます。
休止期の間、毛根は新たな毛髪を作るための準備を始めます。
そして、休止期が終わると古い毛髪が抜け落ち、新たな毛髪が生まれてくるのです。
ヘアーサイクルが乱れるとどうなる?
ヘアーサイクルが乱れると以下のような影響が現れます。
- 成長期が短くなる=抜け毛が多くなる
- 1日50本~100本の抜け毛は正常
それぞれ解説します。
成長期が短くなる=抜け毛が多くなる
AGAなどでヘアーサイクルが乱れると、成長期が短くなります。
通常は3~5年ほど続く成長期が、1年~数か月ほどに短縮されるケースもあるほどです。
成長期が短くなると、毛髪は十分に成長する前に休止期や退行期を迎えてしまいます。
細く短い状態のまま毛髪が抜け落ちてしまうため、頭髪全体のボリュームが減少して薄毛が目立ちやすくなるのです。
1日50本~100本の抜け毛は正常
抜け毛は1日50〜100本程度なら正常の範囲内です。
100本と聞くとかなり多い印象を受けますが、日本人の平均本数は約10万本といわれており、1日100本抜けたところで薄毛になることはありません。
また、1日の抜け毛の60%はシャンプー中に抜けるといわれています。
したがって、シャンプー中の抜け毛の本数が30~60本であれば正常といえるでしょう
一方、毛根に以下のような特徴が見られる場合は、異常な抜け毛の可能性があるため注意が必要です。
- 白い付着物がある
- 粘つきがある
- ヒゲのようなものがある
- くびれがある
- 毛根自体がない
「毛根の根元に付着物が付いている。これは何?」という方は、下の記事をご覧ください。
ヘアーサイクルが乱れる原因は?
ヘアーサイクルが乱れる主な原因として、次の2点が挙げられます。
- AGA
- 頭皮の肌荒れや炎症
それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。
AGA
AGA(Androgenetic Alopecia)とは男性ホルモンの影響で引き起こされる脱毛症のことで、「男性型脱毛症」とも呼ばれます。
40代以降の男性に多く見られますが、20代や30代で発症するケースも珍しくはありません。
AGAは5αリダクターゼという還元酵素が男性ホルモンの「テストステロン」を「DHT(ジヒドロテストステロン)」に変えることで発症します。
DHTが毛根の毛乳頭付近に存在するアンドロゲンレセプターに取り込まれると脱毛因子「TGF-β」が増加し、毛母細胞にダメージを与えるのです。
そうするとヘアーサイクルが乱れて、毛髪が成長する前に抜け落ちてしまい薄毛が進行する、というのがAGAのメカニズムです。
AGAの発症には5αリダクターゼの活性度や男性ホルモンレセプターの感受性が関わっています。
血縁関係、特に母方の祖父に薄毛が見られる場合は遺伝的影響を受けやすいので注意が必要です。
詳しくは下の記事をご覧ください。
頭皮の肌荒れや炎症
ヘアーサイクルが乱れる原因はAGAだけではありません。
生活習慣の乱れやストレスによる頭皮の肌荒れ・炎症も、一時的にヘアーサイクルが乱れる原因となります。
太くて丈夫な毛髪を育てるためには、土台となる頭皮の健康が欠かせません。
しかし、生活習慣が乱れて睡眠不足に陥ったりストレスを溜め込んだりしていると、頭皮環境が悪化してヘアーサイクルが乱れてしまいます。
その結果、抜け毛が増えて一時的な薄毛になると考えられているのです。
頭皮がかゆい、赤いなどの異常が見られたら、何かしらの異常が考えられます。
最悪の場合、脂漏性脱毛症などを引き起こしかねないので注意してください。
脂漏性脱毛症については、下の記事でまとめています。
ヘアーサイクルを正常化させるための対処法
薄毛の対処法は原因によって異なります。
それぞれの原因ごとに、具体的な対処法をご紹介します。
- AGAの場合:受診がオススメ
- 生活習慣の乱れやストレスの場合:しっかり睡眠を取る
AGAの場合:受診がオススメ
薄毛の原因がAGAにある場合は、医療機関の受診がオススメです。
早期に治療を開始することで、改善効果を得られやすくなります。
医療機関では、次のような治療を受けることができます。
- 内服薬
- 外用薬
- 注入療法
- 自毛植毛
このうち「AGAガイドライン」においてもっとも推奨されているのは以下の3つです。
- 内服薬:フィナステリド
- 内服薬:デュタステリド
- 外用薬:ミノキシジル
フィナステリド、デュタステリドは、上述した5αリダクターゼの働きを阻害する内服薬です。
DHTの産出を防げるため、AGAの進行を食い止められる効果があります。
ただし、フィナステリド、デュタステリドは医療機関を受診しなければ処方されません。
一方で、ミノキシジル外用薬は通販やネットショッピングで手に入ります。
ミノキシジルは毛包に作用し、髪の成長と発毛を促します。
つまり、ヘアーサイクルを正常化させる効果があるのです。
中には「発毛剤って高そう」と感じる方もいるでしょうが、現在はジェネリック剤も発売されています。
ミノキシジル濃度が国内最大で、1本あたり3,000円のミノキシジル発毛剤はこちらをご覧ください。
生活習慣の乱れやストレスの場合:しっかり睡眠を取る
生活習慣の乱れやストレスが薄毛の原因になっている場合は、しっかり睡眠を取ることが大切です。
毛髪の成長に必要な成長ホルモンは、質の良い睡眠を取ることで分泌されます。
逆に言うと、睡眠が不足すると成長ホルモンの分泌量が減少し、毛髪の成長が妨げられてしまうのです。
また、睡眠はストレスの緩和にも有効です。
十分な睡眠は自律神経の働きを整え、ストレスに対する耐性をアップする効果があると考えられています。
生活習慣と薄毛の関係性は下の記事で解説しています。
まとめ
ヘアーサイクルについてまとめます。
- ヘアーサイクルは毛髪が生えてから抜けるまでの周期のこと
- 成長期・退行期・休止期の3つがあり、循環することで髪が抜け、また生えてくる
- ヘアーサイクルが乱れる原因はAGAや頭皮環境の悪化
- AGAの場合、医療機関を受診するのが大事
- 頭皮環境が悪化している場合、しっかり睡眠時間を確保する
薄毛や抜け毛の進行を防ぐためには、正常なヘアーサイクルの維持が欠かせません。
今回紹介した内容を参考に、ヘアーサイクルの健全化に取り組んでみてください。