女性の薄毛にミノキシジルは効く?副作用や使用時の注意点を解説!
女性の薄毛にも「効果がある」と認められているのがミノキシジルです。
ただ、次のような疑問を感じる女性も少なくありません。
「ミノキシジルにはどんな効果があるの?」
「女性が使用すると危険という噂も聞くけど大丈夫?」
本記事では、専門家監修のもと以下の点を解説します。
- 女性の薄毛の原因
- 女性の薄毛にミノキシジルは効果があるのか
- ミノキシジルを使用する際の注意点
最後まで読むことで科学的根拠に基づいた情報が手に入り、薄毛治療に対して「具体的にどうすればいいのか」がわかります。
この記事の監修者
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北海道大学大学院卒業
薬局薬剤師としてAGAや壮年期脱毛症、円形脱毛症の医薬品調剤や服薬相談を多数経験
薄毛の悩みを解決できる医学薬学知識を啓蒙することで、患者さんのより良い人生に貢献したい
と思っております。
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女性の薄毛の種類と原因
男性の薄毛はほとんどAGA(男性型脱毛症)が原因です。
一方、女性はさまざまな種類の脱毛症が原因として考えられます。
- びまん性脱毛症
- 分娩後脱毛症
- ひこう性脱毛症
- 円形脱毛症
- FAGA・FPHL(女性型脱毛症)
抜け毛の原因を知るためには、自分がどの脱毛症に当てはまるのか確認することが大事です。
びまん性脱毛症
びまん性脱毛症の「びまん」とは「広範囲に広がっている」ということです。
前髪の生え際や頭頂部が薄くなっていくAGA(男性型脱毛症)と違い、全体的に髪が抜けていくのがびまん性脱毛症の特徴的な症状です。
また、脱毛のスピードが比較的緩やかなので、自覚しないまま少しずつ進行するという特徴があります。
びまん性脱毛症の原因ははっきりとわかっていません。
ただ、次のような原因が可能性として考えられています。
- 加齢による女性ホルモンの低下
- ホルモンバランスの乱れ
- 頭皮や髪への負担
びまん性脱毛症を発症する女性は、30代後半〜40代から増えます。
これは加齢により女性ホルモンの「エストロゲン」の分泌が低下するためです。
一般的にエストロゲンは20代なかばをピークに減少し始め、更年期と呼ばれる45歳から急激に減ってしまいます。
びまん性脱毛症はエストロゲンの分泌が低下した結果、発毛サイクルが乱れ、抜け毛が増加すると考えられているのです。
若い女性でもホルモンバランスの乱れにより、びまん性脱毛症を発症する可能性があります。
睡眠不足や過度なダイエット、偏った食生活などによる自律神経の乱れは、ホルモンの分泌に悪影響をおよぼしかねません。
分娩後脱毛症
分娩後に抜け毛がひどくなる症状が「分娩後脱毛症」です。
以下のようなタイミングで分娩後脱毛症に気付く人が多いと言われています。
- お風呂で髪を洗う時に排水溝に溜まった抜け毛の量に驚いた
- 鏡を見たら生え際が薄くなっていた
分娩後脱毛症になる大きな原因は、ホルモンの分泌量の変化です。
女性は妊娠すると女性ホルモンである「エストロゲン」「プロゲステロン」が増加し、脱毛が起こりにくいとされる状態になります。
しかし、分娩すると増えていた女性ホルモンの分泌量が通常時に戻ります。
出典:PR TIMES
すると、妊娠時に抜けていなかった髪が一気に脱毛するため、分娩後脱毛症を発症すると言われているわけです。
ひこう性脱毛症
「ひこう」を漢字になおすと「粃糠」となり、米ぬかのようなフケやかゆみを伴う脱毛症を意味します。
発症当初はフケが気になる程度ですが、症状が進むにつれて量が増えます。
頭皮の乾燥に毛穴の炎症が加わり、強いかゆみや赤みを感じるうえに、悪化するとかさぶたができたりや熱を持ったりすることもあります。
このようにして頭皮環境が悪化した結果、髪が成長しづらくなり、前頭部から頭頂部にかけて脱毛の症状が進行します。
ひこう性脱毛症は、大量に発生したフケです。
フケが出る要因はおもに2つあります。
- 洗浄力が強いシャンプーなどの洗い残し
- 頭皮への刺激が強い整髪料
頭皮の正常なターンオーバーが行われず、乾いたフケが大量に発生して毛穴を塞ぎ、髪が育ちにくい頭皮環境になってしまうわけです。
フケに関しては下の記事をご覧ください。
円形脱毛症
円形脱毛症とは、円形や楕円形の脱毛斑が突然できる症状のことです。
びまん性脱毛症と違って少しずつ髪が薄くなるわけでなく、一気に脱毛が進みます。
円形脱毛症の原因ははっきりわかっていません。
有力視されているのが「自己免疫疾患である」という点です。
また、ストレスやアトピー性疾患、ホルモン量の変化など身体的な原因も円形脱毛症の原因として考えられます。
詳しくは下の記事をご覧ください。
FAGA・FPHL(女性型脱毛症)
女性の薄毛の原因として多いのが、FAGA(女性男性型脱毛症)やFPHL(女性型脱毛症)です。
頭頂部や生え際・後頭部が徐々に薄くなっていくのが特徴です。
今までは、女性の脱毛症はAGAと同じく男性ホルモンの乱れが原因とされていました。
このことから「女性男性型脱毛症(FAGA:Female Androgenetic Alopecia)」と呼ばれていたのです。
しかし、さまざまな研究により、原因が男性ホルモンによるものだけでないことが分かってきました。
今では国際的にも「女性型脱毛症(FPHL:Female Pattern Hair Loss)」が多く用いられるようになり、「AGAガイドライン」でも新しい概念として用いられています。
FAGAに関しては下の記事でまとめています。
薄毛治療に用いられる「ミノキシジル」とは?
ミノキシジルはもともと高血圧症の治療薬として開発され、1979年からアメリカで使用が始まりました。
高血圧治療の過程で多毛の副作用が認められたことから、薄毛(AGA)の外用薬として広まったのです。
現在は日本国内でも医薬品として承認され、薄毛治療に使用されています。
ミノキシジルには血管を拡張させて血流を促進させる作用があります。
頭皮に使うことで、毛包を活性化して新しい髪の発毛と成長を促すのです。
現在、発毛効果が認められているのはミノキシジルが配合された発毛剤だけです。
その他の成分では、髪を太くする・強くするなどいわゆる「育毛効果」しか望めません。
髪の毛を増やしたい人はミノキシジル配合の発毛剤がおすすめです。
女性の薄毛にもミノキシジルは効果あり!
ミノキシジルは女性の薄毛にも効果があります。
臨床試験でも「改善効果があった」と報告されています。
次いで女性型脱毛症に関しては,1%,2%,および5%ミノキシジルを用いた 8 件のランダム化比較試験を解析した,1,242名の女性被験者を対象とした観察期間 24~32 週のシステマティック・レビューにおいて,ミノキシジルの有効性が明らかになった.
このように、女性の薄毛においてもミノキシジルの外用は有効なのです。
ただし、ミノキシジルの内服薬はおすすめしません。
内服薬の臨床試験が施されておらず、効果について確固たるエビデンスがないからです。
詳しくは下の記事をご覧ください。
ミノキシジルの効果を実感するまでの期間
ミノキシジルの効果を実感するまでの期間は約半年です。
女性用のミノキシジル発毛剤である「FCI」の添付文書には以下の記載があります。
1.毛髪が成長するには時間がかかります。効果がわかるようになるまで少なくとも6ヵ月間、毎日使用してください。(本剤の有効性は6ヵ月使用した場合に認められています。)
毎日2回、患部に塗布してください。
6ヵ月使用して効果が実感できなかった場合、医師に相談して他の方法を試してみましょう。
ミノキシジルを使用した際に起こり得る副作用
ミノキシジルは以下の副作用が起きる可能性があります。
[関係部位:症状]
皮膚:頭皮の発疹・発赤※、かゆみ、かぶれ、ふけ、使用部位の熱感等
精神神経系:頭痛、気が遠くなる、めまい
循環器:胸の痛み、心拍が速くなる
代謝系:原因の分からない急激な体重増加、手足のむくみ
※:頭皮以外に現れることもあります
ただし、副作用が起きる可能性は数%程度なので安心してください。
万が一、これらの副作用が起きたときは、すぐに使用を中断して医師に相談しましょう。
人によっては、ミノキシジルの使用後に抜け毛が増えるケースもあります。
これは初期脱毛であり、髪が生まれ変わろうとしている証拠です。
ミノキシジルの初期脱毛は下の記事で解説しています。
女性がミノキシジルを使用するときの注意点
ミノキシジルには、使用にあたって注意しておきたい点があります。
- すべての薄毛に効果があるわけではない
- 妊娠・授乳中の場合は使用しない
- 内服薬はリスクがあるので推奨されていない
- 健康面に不安がある場合は医師に必ず相談する
- 男性向けの製品を使用しない
- 個人輸入は危険なのでNG!
それぞれ解説します。
すべての薄毛に効果があるわけではない
ミノキシジルを使用したからといって、すべての薄毛に効果があるわけではありません。
なぜなら、ミノキシジルは発毛を促したり成長を促進させたりする効果しかないからです。
たとえば、円形脱毛症は上述したとおり自己免疫疾患の可能性が示唆されています。
自己免疫疾患の場合、ミノキシジルではなくステロイドなどの治療が推奨されているのです。
また、ホルモンバランスの変化やダイエット、甲状腺疾患などが脱毛症の原因となっている場合には、ミノキシジルを使っても効果は期待できません。
体に負担をかけて悪影響をおよぼすこともあるため注意してください。
妊娠・授乳中の場合は使用しない
妊娠・授乳中の使用はできません。
■してはいけないこと
(守らないと現在の症状が悪化したり、副作用が起こる可能性があります。)
1.次の人は使用しないでください。…中略…
(3)妊婦又は妊娠していると思われる人、並びに授乳中の人。(妊娠中の使用については、十分確認されていません。また、ミノキシジルは母乳中に移行します。)
(4)妊娠、出産に伴い脱毛している人。(壮年性脱毛症以外の脱毛症である可能性が高い。)
胎児に悪影響を与えてしまう恐れがあるので注意してください。
内服薬はリスクがあるので推奨されていない
ミノキシジルの内服薬はおすすめできません。
国内どころか世界中で治療薬として認められておらず、「AGA・FAGAガイドライン」においても「(治療を)行うべきではない」と述べられています。
女性に推奨されているのは、あくまでミノキシジルの外用薬だけです。
健康面に不安がある場合は医師に必ず相談する
ミノキシジルには血管拡張作用があるため、使用により血圧や心臓に影響をおよぼす可能性があります。
以下の女性は使用前に医師に相談してください。
(1)今までに薬や化粧品などによりアレルギー症状(例えば、発疹・発赤、かゆみ、かぶれ等)を起こしたことがある人。
(2)高血圧の人、低血圧の人。
(本剤は血圧に影響を及ぼす可能性が考えられます。)
(3)心臓又は腎臓に障害のある人。
(本剤は心臓や腎臓に影響を及ぼす可能性が考えられます。)
(4)むくみのある人。
(むくみを増強させる可能性が考えられます。)
男性向けの製品を使用しない
男性向けの製品を使用してはいけません。
女性用のミノキシジル外用薬は濃度が1%ですが、男性用は5%が上限で
使用する濃度が異なります。
女性が男性用のミノキシジルを使用すると副作用のリスクが高まりますので、男性用の製品は使用しないでください。
夫婦で男性用ミノキシジル発毛剤を兼用するのもNGです。
個人輸入は危険なのでNG!
ミノキシジルの個人輸入は危険です。
なぜなら、万が一の際に救済制度を使えないからです。
たしかに個人輸入を使えば、より安く高濃度なミノキシジルを手に入れることができます。
しかし、濃度が高いと副作用のリスクが高くなります。
副作用が起きても個人輸入で手に入れた場合、救済制度が使えず、自己負担・自己責任になってしまうのです。
他にもさまざまなリスクがあります。
詳しくは下の記事をご覧ください。
まとめ
女性の薄毛とミノキシジルの効果や注意点についてまとめます。
- 女性の薄毛の原因は男性と似ているが、さまざまな種類がある
- ミノキシジルは女性の薄毛にも効果的
- 毛包に作用し、新しい髪の発毛と成長を促進する
- しかし、認められているのは濃度1%だけで男性用のミノキシジル発毛剤はNG
- 女性が使用する場合には女性用のミノキシジル製品を使う(個人輸入はNG)
女性の薄毛の原因はさまざまです。
医療機関を受診してミノキシジル発毛剤を処方してもらいましょう。