AGA治療薬の種類と効果は?治療薬の選び方と使用時の注意点を解説
AGAは男性に見られる代表的な脱毛症で、発症すると徐々に進行するのが特徴です。
AGAの発症が疑われる場合、基本的に投薬治療での改善を図ります。
「AGA治療薬ってどんなものがあるの?」
「どうやって選べばいい?」
本記事ではこのような男性に向けて、以下の点を分かりやすく解説します。
- AGA治療薬の種類
- AGA治療薬の効果
- AGA治療薬の選び方
- AGA治療薬を使用する際の注意点
たった5分程度で、AGA治療薬に対する科学的根拠に基づいた正しい知識が得られるので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の監修者
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北海道大学大学院卒業
薬局薬剤師としてAGAや壮年期脱毛症、円形脱毛症の医薬品調剤や服薬相談を多数経験
薄毛の悩みを解決できる医学薬学知識を啓蒙することで、患者さんのより良い人生に貢献したい
と思っております。
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そもそも「AGA」とは?
AGAは男性型脱毛症のことで、徐々に進行するという特徴があります。
ここでは以下の2点を説明します。
- AGAのメカニズム
- AGAのパターン
AGAのメカニズム
AGAを発症するメカニズムとして、男性ホルモンの一種であるテストステロンが、より強力なDHT(ジヒドロテストステロン)に変化することがあげられます。
ジヒドロテストステロンがアンドロゲンレセプターという男性ホルモン受容体に取り込まれると、抜け毛を引き起こす脱毛因子・脱毛タンパクを産生します。
毛髪の成長期は男性の場合およそ2〜5年ですが、抜け毛を引き起こす脱毛因子・脱毛タンパクが産生されると、数ヶ月から1年に短縮されるのです。
AGAになるとこのようなメカニズムで徐々に抜け毛の量が増え、薄毛が目立つようになります。
テストステロンがジヒドロテストステロンへと変化する際、重要な働きをするのが、体内の酵素である5αリダクターゼです。
薄毛が遺伝するといわれるのは、5αリダクターゼの活発度や、アンドロゲンレセプターの感受性が遺伝的要因によって左右されるからです。
AGAの原因に関しては下の記事で詳しく解説しています。
AGAのパターン
AGAは、5αリダクターゼの働きによりジヒドロテストステロンが増えることで発症リスクが高まります。
5αリダクターゼにはl型・ll型の2種類があり、l型は全身の皮脂腺に、ll型は前頭部や頭頂部の毛包に多く分布しています。
AGAに深く関わっているのは、ll型の5αリダクターゼです。
AGAを発症すると、M字ハゲやO字ハゲになりやすいのは、ll型の5αリダクターゼが前頭部や頭頂部に多く分布しているからなのです。
AGA治療薬には2つのタイプがある
AGAの治療は主に投薬がメインです。
大きく分けると次の2タイプに分類されます。
- 薄毛の進行を防ぐ薬
- 発毛を促す薬
それぞれ詳しく解説します。
薄毛の進行を防ぐ薬
1つ目のAGA治療薬は薄毛の進行を防ぐ薬です。
薄毛の進行を防ぐ薬は以下のとおりです。
- フィナステリド
- デュタステリド
フィナステリドやデュタステリドには、AGAを引き起こす要因となる5αリダクターゼの働きを阻害する作用があります。
5αリダクターゼの働きが阻害されると、抜け毛を引き起こすDHTが産生されなくなるため、薄毛の進行を防げるのです。
その特徴から「守りの治療薬」と表現されることもあります。
ただ、処方してもらうためにはAGAクリニックを受診しなければなりません。
おすすめのAGAクリニックは以下の記事で紹介しています。
発毛を促す薬
2つ目のAGA治療薬は発毛を促す薬です。
発毛を促す薬には、主成分としてミノキシジルが配合されています。
ミノキシジルには血管を拡張し、発毛を促進する作用があります。
フィナステリドやデュタステリドに関しては内服薬が認可されているのですが、ミノキシジルについては外用薬(塗り薬)のみ認可されています。
内服薬は認可されていないどころか、「AGAガイドライン」によって治療を「行うべきではない」と警告されているので注意してください。
ミノキシジルの外用は、その特徴から「攻めの治療薬」と表現されることもあります。
フィナステリドやデュタステリドと違って、クリニックで処方してもらう必要はありません。
国内最大濃度のミノキシジル発毛剤はこちらから購入できます。
AGA治療で使われる治療薬の種類
AGA治療には以下の3種類が用いられます。
- プロペシア
- ザガーロ
- ミノキシジル
詳しく解説します。
薄毛の進行を防ぐ:プロペシア
AGA治療としてもっともポピュラーなのがプロペシアで、「AGAガイドライン」においても最高レベルで推奨されています。
プロペシアの主な目的は薄毛の進行を防ぐことです。
有効成分のフィナステリドが5αリダクターゼll型の働きを阻害するのです。
フィナステリドには、わずかではありますが、性欲の減退やオーガズム障害といった男性機能を低下させる副作用が報告されています。
そのため、これから子作りを検討されている方の場合、医師と相談して慎重に服用する必要があるでしょう。
女性の服用は認められておらず、誤って飲み込まないよう保管に注意してください。
また、最近になってポストフィナステリドシンドローム(PFS)と呼ばれる副作用の存在が明らかになりつつあります。
ポストフィナステリドシンドロームは、プロペシアの服用をやめても副作用が続く状態です。
ただし、これは海外にある高い濃度のプロペシアを服用した際の話であり、国内では報告されていません。
プロペシアには「フィナステリド錠」というジェネリック剤も販売されています。
効果や副作用などは以下の記事でまとめているので、ぜひ参考にしてください。
薄毛の進行を防ぐ:ザガーロ
ザガーロは有効成分であるデュタステリドが配合された治療薬です。
2016年の6月に発売された、比較的新しいAGA治療薬としても知られています。
プロペシアは5αリダクターゼll型の働きを阻害する効果しかありませんが、ザガーロはl型・ll型の双方に作用するのが特徴です。
プロペシアと同じく、ザガーロにも男性機能を低下させる副作用のリスクがあります。
日本での報告例はないのですが、海外ではザガーロによる肝機能障害の副作用や、乳房の女性化といった現象も報告されています。
原則として併用禁忌薬はありませんが、他の病気などで治療薬を服用している場合、医師に相談することが欠かせません。
中には次のような方もいます。
「プロペシアとザガーロならどちらがいいのだろう?」
AGA治療として多く用いられるのはプロペシアです。
詳しくは下の記事をご覧ください。
発毛を促す:ミノキシジル
AGA治療の際、発毛を促す目的で利用されるのがミノキシジルです。
上述したプロペシア(フィナステリド)、ザガーロ(デュタステリド)と並んで、「AGAガイドライン」でもっとも強く推奨されています。
ミノキシジルには2種類あります。
- 外用薬:頭皮に塗って使うタイプ
- 内服薬:錠剤を飲むタイプ(ミノキシジルタブレット:通称ミノタブ)
いずれも血管を拡張し、血液の循環を促進するのが特徴です。
頭皮への血行を促進すると、髪の毛の成長を促す結果につながります。
外用薬としてのミノキシジルは安全性が高く、副作用のリスクが低い点もメリットの1つです。
ただし、肌質や体質によっては頭皮のかゆみや赤み、アレルギー反応を引き起こす可能性があるので注意してください。
内服タイプのミノキシジルには、循環器系に深刻な副作用を引き起こす恐れがあります。
国内未承認であるため、万が一、副作用が起こっても自己責任です。
まずはミノキシジル外用薬の使用からはじめましょう。
AGA治療薬の選び方
AGA治療薬には上記の3種類がありますが、選ぶ際は次のような点に注目しましょう。
- 薄毛の進行状況から選ぶ
- 体質から選ぶ
- 料金から選ぶ
1つずつ解説します。
薄毛の進行状況から選ぶ
AGA治療薬を選ぶ場合、薄毛の進行状況から選ぶ方法があります。
ひとくちにAGAといっても、薄毛の程度や進行速度は人それぞれだからです。
まず、「AGAかもしれない」と感じたらミノキシジル外用薬の使用をおすすめします。
プロペシアやザガーロと通販で購入することができるため、「AGA治療の第一歩」と考える方が多いのです。
薄毛がある程度進行している場合、進行を抑えるプロペシア・ザガーロを服用しましょう。
AGA治療薬の効果をより高めたい場合は、プロペシアとミノキシジル、もしくはザガーロとミノキシジルを併用する方法もあります。
プロペシアやザガーロとミノキシジルとでは作用機序が異なるため、併用すると発毛効果を高めることが期待できます。
体質から選ぶ
AGA治療薬を選ぶ場合、体質から選ぶ方法もあります。
AGA治療薬には、わずかながら副作用のリスクがあるからです。
たとえば、プロペシアやザガーロには男性機能を低下させる副作用があります。
そのため、これから子作りを検討しているような場合、ミノキシジルを選ぶのも一つの手といえるでしょう。
料金から選ぶ
AGA治療薬を選ぶ場合、料金から選ぶ方法もあります。
AGAは進行型の脱毛症であり、治療を根気強く続けるには薬代がネックとなるからです。
とくにミノキシジル外用薬は値段がさまざまです。
1万円を超えるものもあれば、3,000円程度で購入できるものもあります。
国内最大濃度かつ3,000円程度で購入できるミノキシジル外用薬はこちらをご覧ください。
AGA治療薬を使用するときの注意点
AGA治療薬を使用するときには、次のような点に気を付けましょう。
- 個人輸入は危険!まずは病院での受診が大切
- フィナステリドを含む治療薬は妊活中・妊娠中の女性に近づけない
- 副作用が出たらすぐに医師に相談する
- 男性用・女性用で有効成分の濃度が違う薬がある
- 治療を中断すると薄毛が再発・悪化する可能性が高い
それぞれ詳しく解説します。
個人輸入は危険!まずは病院での受診が大切
AGA治療薬を海外から個人輸入すると、薬代を安く済ませられます。
海外製のジェネリックなどを購入する場合、国内正規品の半分以下で済むことも珍しくありません。
ただし、海外製のジェネリックを個人輸入した場合、粗悪品や偽物を掴まされる可能性があります。
また、自己判断で海外製のジェネリックを服用した場合、副作用が起こっても国による救済措置が受けられません。
個人輸入のリスクに関しては、下の記事をご覧ください。
フィナステリドを含む治療薬は妊活中・妊娠中の女性に近づけない
フィナステリドを配合している治療薬は、妊活中や妊娠中の女性に近づけないようにしましょう。
誤って服用すると、胎児(男児)の成長に悪影響をおよぼす危険性があるからです。
フィナステリドには、AGAの原因となるジヒドロテストステロンの産生を抑止する作用があります。
ただ、ジヒドロテストステロンは、男児の外生殖器を成長させるのに必要なホルモンでもあるのです。
経皮吸収される(触っただけで吸収される)ため、医師によってはフィナステリドを含む治療薬に触れることすら禁じる方もいます。
基本的にはコーティングされているためカプセル自体を触ることは問題ありませんが、欠けたり割れたりして中身が出てしまった場合は注意しましょう。
副作用が出たらすぐに医師に相談する
AGA治療薬を使用する場合、副作用が出たらすぐに医師に相談しましょう。
副作用がAGA治療薬によるものか判断する必要があるからです。
仮にAGA治療薬によって副作用がもたらされているのであれば、服用を続けるのか、他の治療薬に変えるのか、医師の判断を仰ぐ必要があります。
副作用があらわれているのに自己判断でAGA治療薬の服用を続けた場合、思わぬ健康被害を招く可能性もあるため注意が必要です。
男性用・女性用で有効成分の濃度が違う薬がある
AGA治療薬の中でもミノキシジルは女性でも使えますが、男性用と女性用とで有効成分の濃度が異なるため気をつけなければなりません。
基本的に女性の場合、ミノキシジルを1%配合した薬しか使えないのです。
一方、男性の場合は、ミノキシジルを5%配合した薬を使うのが一般的です。
治療を中断すると薄毛が再発・悪化する可能性が高い
AGA治療薬を使用する場合、治療を中断すると薄毛が再発・悪化する可能性が高いことを知っておきましょう。
AGAは進行型なので、自己判断で治療薬の服用を中断すると進行が再開してしまいます。
治療薬の量を減らしたい場合は、かならず医師に相談するよう心がけましょう。
AGA治療薬で効果が出ないときは…
AGA治療薬で効果が出ないと感じる場合、次のような点を確認してみましょう。
- 薬の使い方
- 治療期間
- 治療法
AGA治療薬の効果が感じられない場合、薬の使い方に問題があるのかもしれません。
よくある例が、薬の飲み忘れや塗り忘れです。
用法用量を守って、毎日治療を続けるのが大事です。
AGA治療薬は効果があらわれるのに、半年程度かかるのが一般的です。
効果が感じられない方の中には、3ヶ月程度で薬の服用をやめてしまう方もいます。
まずは半年間、毎日治療を続けてください。
AGA治療薬の効果が出ない場合、その他の治療法を検討する方法もあります。
発毛メソセラピーなど投薬以外のAGA治療法もあるので、まずは医師に相談してみましょう。
まとめ
AGAの治療薬についてまとめます。
- AGAは遺伝的要因によって発症リスクが高くなる
- AGA治療薬には薄毛の進行を防ぐタイプと、発毛を促進するタイプの2種類がある
- AGAの治療にはプロペシアやザガーロ、ミノキシジルが用いられる
- AGA治療薬の副作用が出たら必ず医師に相談する
- 治療効果が出ない場合は服用方法や治療法を見直す
AGAは進行型の脱毛症であるため、根気強く治療を続けることが求められます。
適切に治療薬を用いることで抜け毛の進行を遅らせたり、年齢相応の毛髪量を取り戻したりする効果が期待できます。
まずは上述したとおり、ミノキシジルの発毛剤から試してみましょう。