自毛植毛のメリット・デメリット|効果や費用、術後の経過を分かりやすく解説
AGA治療の一つとして注目されているのが自毛植毛です。
ただ、自毛植毛にはさまざまなメリット・デメリットがあるため、よく検討して治療をはじめましょう。
本記事では専門家監修のもと、以下の点を詳しく解説します。
- 科学的根拠に基づいた自毛植毛のメリットとデメリット
- 自毛植毛の3つの効果
- 自毛植毛のリスクと副作用
記事の後半ではおすすめのクリニックも紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の監修者
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北海道大学大学院卒業
薬局薬剤師としてAGAや壮年期脱毛症、円形脱毛症の医薬品調剤や服薬相談を多数経験
薄毛の悩みを解決できる医学薬学知識を啓蒙することで、患者さんのより良い人生に貢献したい
と思っております。
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自毛植毛とは
自毛植毛とは、自分の毛を使って植毛を行う治療のことです。
具体的に言うと、後頭部や側頭部にある自分の髪を薄毛部分に移植するという治療を指します。
自毛植毛と人工毛植毛の違い
同じく植毛術である「人工毛植毛」と何が違うのか、以下で比較します。
自毛植毛 | 人工毛植毛 | |
特徴 | 自分の毛を採取して移植する | 合成繊維で作られた人工毛を移植する |
費用 | 人工毛植毛に比べて高い | 自毛植毛に比べて安い |
危険度 | 人工毛植毛に比べて少ない | 自毛植毛に比べて高い |
AGAガイドラインにおける推奨度 | B:行うように勧める | D:行うべきでない |
このように、同じ植毛術でも人工毛植毛は危険度が高く、「AGAガイドライン」では「行うべきでない」と警告されています。
自毛植毛の方法と術式
自毛植毛には主に3つの方法があります。
それぞれの術式とメリット・デメリットは以下のとおりです。
FUT法(ストリップ法) | FUE法 | ARTAS法 | |
術式 | メスを使用し毛髪が多い頭皮を採取・移植する | 専用の器具で毛髪をくり抜き採取・移植する | ロボットを使い毛髪を採取し、手作業で移植する |
メリット | ・生着しやすい
・1回の施術で移植できる毛髪の量が多い |
・ダウンタイムが短い
・傷跡が目立ちにくい |
・ミスが起こりにくい
・他の術式に比べて費用が安いケースがある |
デメリット | ・傷跡が目立ちやすい
・ダウンタイムが長い |
・採取量が多いと傷跡が目立ちやすい
・1回の施術で移植できる毛髪の量が少ない |
・1回の施術で採取できる毛髪の量に制限がある
・取り扱う施設が少ない |
他にも、クリニックによってオリジナルの術式を用いるケースもあります。
自毛植毛のメリット・デメリット
次に、自毛植毛のメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。
メリット | デメリット |
|
|
これらのメリット・デメリットをしっかりと確認するのが大事です。
自毛植毛のメリット
自毛植毛のメリットは以下のとおりです。
- 術後は自分の正常な髪が生え続ける
- 自然な仕上がりになる
- 副作用や拒絶反応のリスクが少ない
術後は自分の正常な髪が生え続ける
自毛植毛では健康な部分の髪を毛根ごと移植するため、術後は自分の正常な髪が生え続けるというメリットがあります。
ヘアサイクルによって自然に抜け落ちた後も再び自然に生えてくるため、半永久的な植毛効果が得られるのです。
自然な仕上がりになる
自毛植毛の髪は、人工のものではなく「生きている髪」なので、仕上がりが自然というのも大きなメリットです。
パーマをかけたり、ヘアカラーを施したり、元の髪と同じようにさまざまなスタイルが楽しめます。
また、植毛部分と周囲の髪を調和させるように髪の生える角度や方向もデザインしながら施術を行うため、違和感なく薄毛をカバーすることができます。
副作用や拒絶反応のリスクが少ない
「自毛植毛と人工毛植毛の違い」の項でも述べたように、自毛植毛では自分の髪を採取して移植するため副作用や拒絶反応のリスクが少ないことが特徴です。
術後の炎症なども起こりにくく、安心して施術を受けることができます。
自毛植毛のデメリット
自毛植毛にはさまざまなメリットがありますが、一方でデメリットも存在します。
- 費用が高い
- 効果が出るまでに時間がかかる
- 傷跡が残ることがある
かならずこれらに目を通して、施術を検討しましょう。
費用が高い
自毛植毛は、人工毛植毛に比べると費用が高い傾向があります。
クリニックによって差はありますが、一般的には数十万円〜数百万円の費用がかかります。
費用が高い理由は以下のとおりです。
- 専門の医師による高度な技術が必要
- 自由診療なので健康保険が適用されない
- 1本ずつ髪を移植するため作業が大変
もっとも、自毛植毛はAGA治療と違って1回で高い効果が期待できます。
効果が出るまでに時間がかかる
自毛移植した髪は、一度抜け落ちてから再び伸び始めます。
髪が伸びるスピードには個人差がありますが、1年で10cm程度が平均的とされています。
このように効果が出るまでにある程度の時間がかかるという点はデメリットと言えるでしょう。
傷跡が残ることがある
自毛植毛では、髪を採取する際に皮膚を傷つけるため、傷跡が残ることがあります。
特に、メスを使うFUT法(スリップ法)では、他の術式に比べて傷跡が目立ちやすいとされています。
自毛植毛の効果
自毛植毛の効果を詳しく解説します。
ここで解説するのは以下の3点です。
- 自毛植毛はAGAを根本的に改善できる可能性がある
- AGA診療ガイドラインでも自毛植毛が勧められている
- 生着すれば正常な髪の毛が生え変わり続ける
自毛植毛はAGAを根本的に改善できる可能性がある
男性の薄毛の主な原因であるAGA(男性型脱毛症)は、男性ホルモンの影響でヘアサイクルが乱れ健康な髪が育ちにくくなる症状です。
自毛植毛では男性ホルモンの影響を受けにくい部位から頭皮ごと髪を移植するため、AGAを根本的に改善できる可能性があります。
AGA診療ガイドラインでも自毛植毛が勧められている
日本皮膚科学会が作成している「AGA診療ガイドライン」では、自毛植毛は「推奨度:B(行うように勧める)」と分類しています。
一方、人工毛植毛はFDA(アメリカ食品医薬品局)が事実上の禁止にするなど、安全性の観点から「行うべきでない」とされています。
このことからも、自毛植毛は安全かつ効果の高い治療法であると言えるでしょう。
生着すれば正常な髪の毛が生え変わり続ける
前述のように、自毛植毛では移植した髪が生着すれば、ヘアサイクルに従って半永久的に正常な髪の毛が生え変わり続けます。
また、AGAは遺伝との関わりが示唆されていますが、自毛植毛で移植された毛髪は遺伝の影響を受けにくい性質を持ちます。
自毛植毛のリスクと副作用
メリットの多い自毛植毛ですが、医療行為である以上、一定のリスクと副作用もあります。
自毛植毛を行った際に生じる可能性がある主なリスクと副作用は以下のとおりです。
- 植えたのに生えてこないリスクが5-15%程度ある
- 手術後に痛みが残ることがある
- ショックロスが起きる確率は5人に1人程度
植えたのに生えてこないリスクが5-15%程度ある
海外の報告では、自毛植毛の生着率は82.5%と言われています。
さらに,Beehner は著書の中で複数の報告を検討し,自毛植毛術は 82.5%以上という高い生着率が得られることを記載している
裏を返すと、5-15%の人は移植をしたのに髪が生えてこないリスクがあるということです。
全般的に自毛植毛の生着率はかなりの高さを誇りますが、すべてのケースで髪が生えてくるわけではないという点はリスクと言えるでしょう。
手術後に痛みが残ることがある
自毛植毛では髪を採取する際に皮膚の一部を切り取るため、手術後に痛みが残ったり、縫合した場所にツッパリ感を覚えたりするケースもあります。
特にFUT法(スリップ法)では広範囲に渡って皮膚を切り取るため、FUE法やロボット法に比べると痛みが残る傾向が強いのです。
ショックロスが起きる確率は5人に1人程度
ショックロスとは、自毛植毛の手術後にそれまで生えていた髪の一部が抜けてしまう現象で、5人に1人程度の割合で起きると言われています。
ショックロスで抜ける髪は既存の10-15%程度とされており、すべての髪が抜け落ちてしまうわけではありません。
ただ、一時的に薄毛が進行したように感じてしまうケースがあります。
自毛植毛の費用
ここでは自毛植毛の費用を紹介します。
自毛植毛の費用はクリニックによって違うため、あくまで参考程度に考えてください。
費用は術式と植える株数で決まる
自毛植毛の費用は術式と植える株数で決まります。
株(グラフト)とは毛根を包む「毛包」という組織のことで、1つの毛根からは平均で2〜2.5本の毛が生えています。
どのような術式を使い、いくつの株を採取・移植するかによって、かかる費用は異なるので注意してください。
M字ハゲの場合の概算費用
M字ハゲはAGAの初期段階です。
一般的に、AGAはM字のような形で生え際が後退します。
M字ハゲの概算費用は以下のとおりです。
浅めの場合 | 深めの場合 | |
植毛グラフト数 | 400グラフト〜 | 800グラフト~ |
毛髪本数目安 | 約1,000本〜 | 約2,000本~ |
施術費用 | 約616,000円 | 約1,012,000円 |
※参考:親和クリニック
O字ハゲの場合の概算費用
O字ハゲは、生え際が後退したあと頭頂部が薄くなるパターンのことです。
M字ハゲの概算費用は以下のとおりです。
植毛グラフト数 | 1,000グラフト~ |
毛髪本数目安 | 約2,500本~ |
施術費用 | 約715,000円~ |
※参考:親和クリニック
自毛植毛クリニック選びのポイント3つ
自毛植毛クリニック選びのポイントは以下の3つです。
- 実績や症例数が豊富
- 費用が抑えられる
- 術後のサポート体制が充実している
これらをチェックして、自分に合ったクリニックを見つけましょう。
実績や症例数が豊富
まずは実績や症例数が豊富なクリニックを選ぶようにしましょう。
自毛植毛は術者の経験やスキルに左右されることもあるからです。
特に、公式サイトに症例写真をたくさん掲載しているクリニックであれば、実際の植毛効果を見ることができて安心です。
費用が抑えられる
施術にかかる費用はクリニックによってさまざまです。
自毛植毛は健康保険が適用されない自由診療にあたるからです。
一般的には、1株1,000円程度が相場とされています。
術後のサポート体制が充実している
「痛みが残らないか」
「ちゃんと生着するのか」
このような術後の不安に対するサポート体制が充実しているクリニックを選ぶことも大切なポイントです。
電話でのサポートサービスや術後の無料検診など、アフターケアが充実しているクリニックであれば安心して施術を受けることができます。
自毛植毛でおすすめのクリニック
安心・安全な自毛植毛を受けられるおすすめのクリニックを紹介します。
ここで紹介するのは以下の2つです。
- 親和クリニック
- アイランドクリニック
親和クリニック
親和クリニックは、新宿・名古屋・大阪・福岡の全国4院を展開する薄毛治療専門のクリニックです。
親和クリニックでは「痛み」「傷跡」「気づかれない」を徹底的に研究して開発された独自の自毛植毛「MIRAI法」を提供しています。
また、1度の手術で3,000株の大量植毛が可能な「ハイスピード・メガセッション」により、生着率の向上や短い手術時間を実現しています。
住所 | 〒160-0022
東京都新宿区新宿2-12-4 アコード新宿5F |
電話番号 | 0120-2323-24【新宿院直通】 |
診療時間 | 10:00~19:00(完全予約制) |
電話受付時間 | 9:30~19:00 |
休診日 | 年中無休 |
アイランドタワークリニック
アイランドタワークリニックも新宿、大阪、名古屋、福岡に展開する自毛植毛専門のクリニックです。
10年以上に渡り追求し続けて開発された「i-direct」と呼ばれる手法で、2013〜2017年度において国内植毛シェア5年連続50%以上を獲得しています。
累計症例は2万5千件で、年間施術株数215万株以上の実績を誇り、10年以上無事故・無違反なので安心して治療を受けられます。
住所 | 〒163-1305
東京都新宿区西新宿6-5-1 アイランドタワー5F |
電話番号 | 0120-43-1082 |
診療時間 | 10:00~19:00 |
話受付時間 | 10:00~19:00 |
休診日 | 年中無休 |
自毛植毛に関するよくある質問
自毛植毛に関するよくある質問にお答えします。
ここで回答するのは以下の質問です。
- 植毛した後の髪はAGAの影響を受けないの?
- 手術後に拒絶反応は起きないの?
- 植毛した後もAGAの治療は必要か?
植毛した後の髪がAGAの影響を受けないの?
植毛した後の髪がAGAでなければ、影響を受けることは基本的にありません。
自毛植毛では、AGAの原因である男性ホルモンの影響を受けにくい側頭部や後頭部の髪を株(グラフト)として使用するからです。
ただ、側頭部や後頭部もAGAの進行が進んでいれば、影響を受けてしまう恐れがあります。
手術後に拒絶反応は起きないの?
手術後の拒絶反応は起こりにくいとされています。
異物(合成繊維)を使用する人工毛植毛と異なり、自毛植毛では自分自身の髪を使って植毛を行うからです。
植毛した後もAGAの治療は必要か?
症状によってはAGAの治療を継続する必要があります。
植毛をした場所以外では薄毛が進行する可能性があるからです。
まとめ
自毛植毛のメリット・デメリットについてまとめます。
- 自毛植毛は人工毛植毛と違って値段は高いものの、危険性が低い
- また、薄毛改善に大きな効果が期待できる
- AGAの影響が及びにくい後頭部・側頭部の髪を毛根ごと移植するため、効果が半永久的に持続する
- 費用は高いが、他の治療方法と違って基本的に継続する必要がない
- 自毛植毛のおすすめクリニックは親和クリニック、アイランドタワークリニック
自分の髪を移植して薄毛を改善できる自毛植毛は、AGAなどで悩む人にとって有効な治療方法です。
他の治療方法で効果が出なかった場合、自毛植毛を検討する価値はあるでしょう。
参考記事: 痩身エステnavi:「植毛はやめたほうがいい」は本当?デメリットや注意点、後悔しないクリニックの選び方も解説