【薬剤師監修】カルプロニウム塩化物外用液5%の効果と副作用を徹底解説します!
カルプロニウムは、脱毛症や尋常性白斑の治療に使われる医薬品です。
ただ、脱毛症などの薬に含有されることから「抜け毛や薄毛に効果があるのでは」と感じる方もいるでしょう。
結論を言うと、カルプロニウムにAGA治療の有効性は認められていません。
本記事では薬剤師監修のもと、以下の点を解説します。
- カルプロニウム塩化物外用液5%の効果
- カルプロニウム塩化物外用液5%の副作用
- カルプロニウム塩化物外用液5%の使用に注意が必要な人
カルプロニウムよりも効果が期待できる治療方法もあわせて紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の監修者
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北海道大学大学院卒業
薬局薬剤師としてAGAや壮年期脱毛症、円形脱毛症の医薬品調剤や服薬相談を多数経験
薄毛の悩みを解決できる医学薬学知識を啓蒙することで、患者さんのより良い人生に貢献したい
と思っております。
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カルプロニウム塩化物外用液5%とは
カルプロニウムは脱毛症や尋常性白斑、乾性脂漏などの治療に用いられる医薬品です。
カルプロニウム塩化物外用液5%の効果
添付文書においては、以下の症状に「効果が期待できる」と記載されています。
○下記の疾患における脱毛防止,発毛促進
円形脱毛症(多発性円形脱毛症を含む),悪性脱毛症,粃糠性脱毛症,瀰慢性脱毛症,壮年性脱毛症,症候性脱毛症など
ただし、臨床試験では有効性が明らかになっていません。
さらに 2%カルプロニウム塩化物に上記の生薬とヒノキチオール等を添加した育毛剤を用いた,75 名の男性被験者及び 11名の女性被験者を対象とした観察期間 24 週間の症例集積研究において,改善率が男性 26.7%,女性 54.5%であった87).
以上のように,カルプロニウム塩化物の外用での有用性は,現段階では十分に実証されていない.
このような結果から、「AGAガイドライン」においては推奨度C1(行ってもよい)と定められています。
推奨度C1(行ってもよい)というのはあくまで「保険適用である」「診療実績がある」などの理由に過ぎません。
実際に、推奨度のC2が(行わないほうがよい)であり、「積極的に推奨されているわけではない」とわかります。
カルプロニウムより推奨されているAGAの治療方法は下の記事をご覧ください。
カルプロニウム塩化物外用液5%の用法・容量
カルプロニウムの用法・用量は以下のとおりです。
脱毛症・乾性脂漏の場合
1日2〜3回適量を患部に塗布,あるいは被髪部全体にふりかけ軽くマッサージする。
尋常性白斑の場合
1日3〜4回適量を患部に塗布する。
いずれの場合も、医師・薬剤師に指示された方法に従って使用する必要があります。
ミノキシジルの発毛剤と同じ使い方ですが、以下のような違いがあることに注意してください。
カルプロニウム | ミノキシジル | |
発毛効果 | なし | あり |
AGAガイドラインにおける評価 | C1(行ってもよい) | A(行うよう強く勧める) |
このようにカルプロニウムに発毛効果はありませんが、ミノキシジルには認められています。
さらに、AGAガイドラインにおいてもミノキシジルは最も強く勧められているのです。
ミノキシジルの発毛剤に関してはこちらをご覧ください。
カルプロニウム塩化物外用液5%の副作用
カルプロニウムには、次のような副作用が報告されています。
1. 過敏症
一過性の発赤、そう痒感等があらわれることがある。
2. アセチルコリン様作用
刺激痛、局所発汗、熱感があらわれることがある。
また、全身性の発汗、それに伴う悪寒、戦慄、嘔気、嘔吐があらわれることがある。
これらの症状があらわれた場合は、すぐに担当の医師もしくは薬剤師に相談してください。
なお、カルプロニウムを含有している「フロジン」の添付文書には、次のような報告があります。
承認前の調査359例中報告された副作用は9.5%(34例)で,主な副作用は局所発汗11件(3.1%),そう痒感7件(2.0%)であった。承認後の調査1,456例中報告された副作用は3.0%(43例)で,主な副作用は局所発汗17件(1.2%),そう痒感11件(0.8%)であった。
出典:フロジン外用液5%
このように深刻な副作用は報告されていないため、過度に心配する必要はないでしょう。
カルプロニウム塩化物外用液5%の使用に注意が必要な人
以下の条件に当てはまる人は、カルプロニウムの使用に注意が必要です。
- 薬や食べ物でアレルギー症状が出た人
- 妊娠または授乳中の人
- 他に薬を使っている人
それぞれ詳しく解説します。
薬や食べ物でアレルギー症状が出た人
薬や他の薬物、食べ物などでアレルギー症状が出た人は注意してください。
添付文書においても、次のように記載されています。
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
本剤の成分または他の薬物に対し過敏症の既往歴のある患者
また、一般的に高齢者は生理機能が低下しているため、投与の際は減量するなどの注意が必要とされています。
心配な点がある場合は、あらかじめ担当の医師に相談するようにしましょう。
妊娠または授乳中の人
妊娠中・授乳中の人も注意しなければなりません。
安全性が確立されていないからです。
そもそも女性のAGAや脱毛症においても、カルプロニウムは有効性が認められていません。
女性の脱毛症に関しては下の記事をご覧ください。
他に薬を使っている人
他の薬を使っている人も注意してください。
特に、以下の疾患がある場合、カルプロニウムの服用はやめておきましょう。
呼吸器系疾患(気管支喘息など)
てんかん(又はその既往歴),てんかんなどの痙攣性疾患など
消化性潰瘍参考:日本医師会
まとめ
カルプロニウムの効果や副作用についてまとめます。
- カルプロニウム自体に発毛効果はなく、AGA治療の有効性は認められていない
- カルプロニウムよりもミノキシジル発毛剤を使うのがおすすめ
- ミノキシジル発毛剤はAGA治療において効果が認められている
- カルプロニウムには軽微な副作用の報告がある
- アレルギーが出た人や妊娠中の女性は注意する
カルプロニウムでAGA治療することは、効果がないとは言えないものの、優先すべきではないでしょう。
まずはミノキシジルの発毛剤からはじめることをおすすめします。