【薬剤師監修】フィナステリドで初期脱毛がでたらやばい?最新の研究をベースに紹介
「フィナステリドを使い始めたが、初期脱毛のような症状が出てやばい」
「初期脱毛はないと聞いたが、なぜなのだろうか」
「AGA治療をしたいけど初期脱毛が気になるなぁ」
「使用し始めたら髪の毛が抜け始めた。逆にやばい」
このようなケースに見舞われている方は少なくありません。
たしかにフィナステリドには「初期脱毛がほとんどない」とする医師も少なくないのです。
意見が割れるのはなぜなのでしょうか。
本記事では薬剤師監修のもと、以下の点を詳しく解説します。
- フィナステリドで初期脱毛が起こるかどうか
- 海外の報告からわかるフィナステリドで初期脱毛が起こる可能性
- フィナステリドの効果について
記事を最後まで読むことで、科学的根拠に基づいたフィナステリドの効果や初期脱毛の有無を理解できるでしょう。
この記事の監修者
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北海道大学大学院卒業
薬局薬剤師としてAGAや壮年期脱毛症、円形脱毛症の医薬品調剤や服薬相談を多数経験
薄毛の悩みを解決できる医学薬学知識を啓蒙することで、患者さんのより良い人生に貢献したい
と思っております。
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フィナステリドに初期脱毛はある?
フィナステリドに初期脱毛があるかどうかは専門家でも意見が分かれます。
まず、日本皮膚科学会と毛髪科学研究会によれば、ミノキシジルには「初期脱毛がみられることがある」と述べられています。
一方で,男女ともにミノキシジル外用初期に休止期脱毛がみられることがあり,これが外用中止につながる恐れがあるため,患者への説明が必要である
フィナステリドに関しては、このような記載がありません。
また、AGAクリニックである「クリニックフォア」では次のように述べられています。
ミノキシジルとは作用機序が異なり、ヘアサイクルを活性化するものではないため、初期脱毛は、ほとんど起こらないとされています。
一方で、ベアAGAクリニック院長の清水崇裕医師は次のように述べています。
ミノキシジルと同様に、フィナステリド、デュタステリドでも成長期の誘導は起きるので初期脱毛は起こります。他の薬剤でも成長期を誘導する作用があれば理論的には初期脱毛は起こる可能性があります。
このように、医師でも「起こらない」「起こる」に意見が大きく割れるのが実情です。
フィナステリドの初期脱毛を調べた結果
本記事では海外の研究結果をもとにフィナステリドの薬理作用と初期脱毛の関係性について詳しく解説します。
ここで解説することはすべて科学的根拠のある事実ですが、あくまで研究段階の論文をベースにしている、とご理解ください。
したがって、フィナステリドが人体に及ぼす影響についての記述内容を100%保証するものではありません。
ただし、論文はカリフォルニア大学のものであり、情報源の信頼性は「非常に高い」といえます。
以下で論文の内容からフィナステリドの効果や初期脱毛の可能性について解説します。
フィナステリドには初期脱毛が起こる可能性がある
結論を述べると、フィナステリドには初期脱毛が起こる可能性があるでしょう。
カリフォルニア大学リバーサイド校が2022年6月に発表した論文によると、TGF-βは低濃度の場合「発毛を促進する可能性がある」とわかったのです。
TGF-βとはなにかというと、一言でいうと脱毛因子です。
5αリダクターゼの働きによってDHT(ジヒドロテストステロン)は、アンドロゲンレセプターという受容体と結びつき脱毛因子を放出します。
それがTGF-βなのです。
このTGF-βには相反する2つの役割があると判明しました。
TGF-beta has two opposite roles. It helps activate some hair follicle cells to produce new life, and later, it helps orchestrate apoptosis, the process of cell death,” Wang said.
【執筆者訳】
「TGF-ベータには2つの相反する役割があります。いくつかの毛包細胞を活性化して新しい生命を生み出すのを助け、その後、細胞死のプロセスであるアポトーシスを調整するのに役立ちます」とWang博士は述べた。
さらに、次のように述べています。
As with many chemicals, it is the amount that makes the difference in the outcome. If the cell produces a certain quantity of TGF-beta, it activates cell division. However, too much of it causes apoptosis.
【執筆者訳】
多くの化学物質と同様に、結果に違いをもたらすのは量です. 細胞が一定量の TGF-β を産生すると、細胞分裂が活性化されます。しかし、多すぎるとアポトーシスを引き起こします。
フィナステリド等、5αリダクターゼを阻害する医薬品を服用するとDHT(ジヒドロテストステロン)が生み出されにくくなります。
つまり、DHTが生まれなくなると、TGF-βの産生も抑えられるようになるのです。
Wang博士がいうように、低濃度のTGF-βは「いくつかの毛包細胞を活性化して新しい生命を生み出すのを助ける役割」があります。
したがって、フィナステリドはAGAの進行を防ぐとともに、毛包細胞を活性化させる、つまり発毛促進につながる可能性があるのではないかと推測できるわけです。
「発毛促進につながる可能性がある」ということは、ベアAGAクリニックの清水崇裕医師が述べるように初期脱毛が起こりうるとも考えられます。
ここで紹介した論文はあくまで研究段階の報告ですが、科学的に「正しい」とするならば、フィナステリドにもミノキシジル同様「初期脱毛がある」といえるでしょう。
フィナステリドは継続が大事
フィナステリドは脱毛の抑制のみならず、発毛を促進する効果も期待されています。
その結果、初期脱毛が起きるという可能性は十分に考えられます。
ただし、これらはあくまで推測であり、科学的な臨床データが多々あるわけではありません。
もっとも、フィナステリドに5αリダクターゼの働きを阻害し、DHTを作りにくくしてTGF-βの産生を抑える効果があるのは事実です。
- 「発毛効果は期待できない」としても、AGAの進行を食い止められる可能性があります。
- 実際に、「AGAガイドライン」ではフィナステリドよりも推奨されているAGA治療薬はありません。
- AGA治療するには、しっかりとフィナステリドを継続するのが大事です。